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2008.02.20

調和への表現

SFCスピリッツ

調和への表現

伊集院史朗さん伊集院史朗さん
フラメンコダンサー
1998年環境情報学部

私はフラメンコダンサーだ。全国の劇場やライブハウスで踊る傍ら、パルマ(手拍子)でレコーディングに参加することもある。フラメンコには、SFCのサークルを通して出会った。ダンサーのスタートとしてはとても遅い。にもかかわらず現在、この仕事で生活できていることをとても幸せに思っている。

フラメンコは、東洋と西洋の融合芸術といわれる。インド発祥のロマ民族は、長い放浪の末スペイン南のアンダルシア地方へたどり着く。そして彼らの感性が、アンダルシア古来の民俗芸能と融合しフラメンコになった。そのためか、「相対的な二者(光と闇、静と動etc.)の調和」という思想が、この芸術の根底にあると感じさせられる。

日本人の私が、南スペイン由来の芸術を生業とすることにはジレンマがある。共演するスペイン人の技術・表現力に圧倒されることも多い。彼らはとても自然に踊る。しかしどうすればそう表現できるかを説明できないことも多い。表現を丁寧に観察し、幾つもの段階に分解し、理解し習得することによって体系化していく。それが私の役割だと思う。

相対する二者の調和というフラメンコの思想。それは人間の「心と体」というやっかいな両面を、調和へ導くいやしの思想となりえるのではないか。フラメンコの表現をいやしのメソッドに応用していく、というのが私のひそかな夢になっている。

(掲載日:2008/02/20)