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Magazine
2008.12.10

自然の中で、人と向き合う仕事

SFCスピリッツ

自然の中で、人と向き合う仕事

山川勇一郎さん山川勇一郎さん
ホールアース自然学校 コーディネーター
1998年総合政策学部

「あ、冬眠中の虫、はっけーーーーん!」

雪化粧をした富士山麓のホールアース自然学校には、冬でも子ども〜お年寄りまで様々な人が訪れます。

「自然学校」とは耳慣れない言葉ですが、地球環境問題の高まりと時を同じくして産声をあげ、現在日本全国に2000ほど存在する「自然と人をつなぐプロ集団」です。

私はそこで働いて6年になりますが、自然のガイド業の傍ら、地域再生や環境教育に関わる様々なプロジェクトを推進する立場にあります。

人が自然と向かい合い、そしてそこに暮す人の思いに触れたとき、心揺さぶられ何かが変わっていく、その瞬間に立ち会えることが、この仕事の醍醐味です。

私は、ごく普通の田舎に存在する里山の暮らしの中に、持続可能な社会を築いていく答えがあると感じています。

ただ、ホールアース自然学校の周りの地域を含め、そのような暮らしに根付いた文化は社会変化と共に急速に荒廃してきています。

まさに、「どげんかせんといかん!」状態にあるわけです。

私の仕事は、人を自然の中に案内するガイド業はもちろん、自然や地域をより良い方向に導くため、地域行政や住民、企業等を巻き込みながら、様々な問題解決のアプローチを繰り返し行う作業です。

そこで、SFCで学んだ「問題発見・解決」の考え方や、先生や卒業生を含めたネットワークがとても役に立っています。

私はSFCを卒業した後、写真関係のベンチャー企業に勤めましたが、より興味のあった自然にもっと主体的に関わりたいという気持ちから接点を模索していたところ、自然や文化を守り、その素晴しさを伝えていく仕事=「自然学校」という業態に出会いました。

私は田舎に住み、自然や人を含めた地域全体が元気になるための起爆剤になること、そして自然から離れた生活をしている都市の人と農村をつなぐ接着剤の役割をこれからも果たしていきたいと思っています。

ホールアース自然学校ウェブサイト
http://www.wens.gr.jp/
科学と環境教育連携プロジェクト
http://shizuoka.canpan.jp/
※筆者が関わる「知の循環」のプロジェクトウェブサイト

(掲載日:2008/12/10)