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2010.07.16

永田町に吹けSFCの風

SFCスピリッツ

永田町に吹けSFCの風

吉浦寛仁さん
共同通信社 政治部記者
1994年総合政策学部卒業、1996年政策・メディア研究科修士課程修了 

私は共同通信で政治記者をしています。SFC1期生として、校舎の半分も完成していない建設途中のキャンパスに瑞々しい気持ちで通ったあのころから、もう20年も経つのかというのが正直な気持ちです。過ぎた年月の長さをかみしめると同時に、今も私の周りで多くのSFC出身者とつながりを持てていることを心からうれしく思います。政治取材の舞台である永田町には、SFCの仲間が着実に増えています。

私と同じマスメディアはもちろん、国会議員や秘書、政党職員、あるいは中央府省や首相官邸スタッフの一員など、それぞれの立場でみんな生き生きと頑張っています。互いに情報や意見を交わしたり協力し合ったりすることも少なくありません。報道の世界を含めて何人ものSFC関係者が政治の場で重要なプレイヤーになりつつあることは、否定しようのない事実です。

日本中が熱を帯びた2009年夏の政権交代劇からさかのぼること16年。私が総合政策学部に在学していた1993年は、長く戦後政治の主役であり続けた自民党が政権を失い、細川連立政権が発足した時でした。新聞には連日のように「政治改革」「選挙制度改革」の文字が踊り、所属していた草野厚研究会の仲間たちと、どのような選挙制度が望ましいのか夜を徹して議論したころを懐かしく思い出します。還暦を迎えられたとは思えない若さを保たれている草野教授からは今も、愛情のこもったご意見やメディア全体に対する叱咤激励を電話やメールでたびたび頂戴しています。良き師との出会い、そして一見古くさいようで案外大事にされている師弟間の絆の強さも、SFCの良さなのかも知れません。

先行きの見えない現在とこれからの政界にこそ、自ら問題を発見し、解決するSFCの理念と人材が求められているはずです。かつて藤沢市遠藤の地で思い描いていた未来図が、20年後の永田町にあるのかと問われれば、私はイエスであり、ノーであると答えます。イエスとは、既存の学問領域だけでは解決できない課題を、必要な英知を結集して有権者の理解を得ながら実際に解いていくという視点の先見性であり確かさです。ノーの理由とは、それを実践できる人材の少なさであり、だからこそ、さまざまな分野で経験を積んだSFCの仲間が、あらゆる形で政治の世界に参画してほしいと願っています。

永田町に、SFCの風をもっと吹かせてほしい。微力ながら、私なりにその一助となるよう努力していくつもりです。

(掲載日:2010/07/16)