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2013.08.05

ワーキングマザーと企業の新しい働き方のカタチ「パートタイムプロフェッショナル」 ~働き方の多様性を目指して~

米倉史夏さん

株式会社Waris代表取締役(共同代表)
1999年総合政策学部卒業

■ワーキングマザーの新しい働きかた

働きたいと思う人たちが自分の能力を生かしながら働き続けられる世の中にしたい――そんな想いから、2013年4月に仲間とともに、株式会社Waris(ワリス)を設立いたしました。
家庭の事情や子育てなどの理由で退職したキャリア女性と事業拡大を目指す企業とをつなぎ、女性たちに「パートタイムプロフェッショナル」として働く機会を提供する事業を行っています。
一般事務を対象としたパートタイムという働き方はこれまで一般的でした。これに対して「パートタイムプロフェッショナル」とは、企業の基幹職として働いてきたハイスキルな女性たちが、企業から業務委託という形で仕事をプロジェクト単位で請け負い、経験を生かしながら、プロフェッショナルとして仕事をしていくという働き方になります。
「仕事を続けることをあきらめずにすんだ」「やりがいがある仕事を続けられて嬉しい」など、支援しているマザーからの声を聞くたびに、世の中でのこうした働き方のニーズを実感する日々です。

■「もったいない」そんな想いが起業へと

自分自身、2010年に出産をし、現在ワーキングマザーとして働いています。起業のきっかけは、周囲の子育て中の仲間が仕事と育児の時間のバランスがとれず退職を余儀なくされたり、望まないキャリアダウンを受け入れざるを得なかったりと、子どもを育てながら働き続けることが難しい実情を頻繁に耳にするようになったことでした。
そんな実態を見聞きする中で、彼女たちが培ってきた経験をそのまま埋もれさせていくのは、社会にとっても大きな損失だと感じていました。その能力を生かせる場がつくれたらという思いで、女性3人で立ち上げたのが㈱Warisです。

■働き方はもっと自由でいい

今、事業のスタートアップに奔走しながら感じるのは、私たちが提唱している「個々の人がそれぞれに、自分は何ができるという『看板』を掲げ、プロフェッショナルとして生きる」という働き方は、性別を問わず人々の働き方の選択肢の一つとして、存在してもいいのではないかということ。 
正社員か派遣社員かアルバイトかという選択肢のみではなく、ライフイベントや、自分が描くキャリアの方向性などによって、働き方を自ら選択できる社会があってもいいのではないかと考えています。
そんな「多様な働き方」が認められる世界を目指しているのが、私たちの事業です。

■「原点」をつくってくれたSFC

「多様であること」をよし、とする。そんな根本的な考え方を私に学ばせてくれたのは、まさしくSFCで過ごした4年間だったのではないかと思います。
それまで小学校から一貫教育を受けてきた私は、均質な社会しか知りませんでした。大学に入って初めて多様性に触れたのです。
SFCに集まってくる学生は、出身地は日本のみならず海外に広がっていましたし、年齢も20代ではない仲間が複数いました。学校生活の中での活動も、起業をしたり、ボランティアをしたりと、学校という枠を超えた活動が身近なところにありました。何がいいとか悪いとかという議論は一切なく、それぞれが個人の価値観の中で「自由」に、活発に動き回っている世界でした。

社会人になって、15年目。
「多様であること」を自分から提唱していくとは、当時は思いもよりませんでしたが、その考え方の原点はSFCにあることを感じています。

<プロフィール>

米倉史夏
株式会社Waris代表取締役(共同代表)

新卒で、政府系機関に入社。その後、株式会社ボストンコンサルティンググループにリサーチャーとして入社。ヘルスケア業界を担当し、医療、製薬業界の調査・分析業務に携わる。2007年に株式会社リクルートへ転職。医療領域の新規事業立ち上げ、ブライダル事業の事業企画業務に従事。2011年に取得した、米国CCE,Inc.認定GCDF-Japan キャリアカウンセラーの資格を生かして女性のキャリア支援に携わりたいと考え、2012年にリクルートを退職。2013年に株式会社Warisを設立。

株式会社Waris ホームページ http:// waris.co.jp

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女性3人で立上げた㈱Warisは全員慶応出身。
写真は、共同代表の田中美和さん(法学部卒業生)とともに。



(掲載日:2013/08/05)