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2004.10.15

3つのマインド|徳田英幸(政策・メディア研究科委員長)

今学期も例年どおり9月21日に、大学院の9月入学式が三田の演説館にて挙行された。慶應義塾の大学院の中では、政策・メディア研究科と理工学研究科の2研究科だけが9月入学というシステムをとっている。セメスタ制をとっている研究科の場合、学部を9月卒業した諸君たちだけでなく、海外からの留学生の受け入れにとっても良い制度である。

一方、式典にて祝辞を述べる側は、それなりの準備をするわけであるが、今回は、政・メの順番であると連絡を受ける。そう、9月入学式の場合、2研究科だけであるので隔年でスピーチをする機会が与えられるのである。また、我々も国際コースを準備中であるが、理工学研究科でスタートした国際コースにあわせて、今回からは、ぜひ英語でスピーチをというリクエストがあった。どんなスピーチもそうであるが、退屈でなく、ピリッとした、うまいスピーチを準備するのは一苦労である。

今回は、「3つマインド」の話をした。私のつたない英語でどこまでニュアンスが伝わったかは不安であるが、"well-prepared mind", "open & creative mind", "healthy mind"の3つである。

"well-prepared mind"は、ノーベル経済学賞を受賞されているHerbert A. Simon先生からCMU時代に聞いた言葉である。研究者の脳というのは、風船のようなもので空気がいっぱいに入ってパンパンに膨れていないと、いくら刺激を与えても破裂しないものである。研究者が難しい問題に直面した際も、まったく同様で、その問題に対して非常に深く、十二分に検討していなければ、どんなに良いヒントや刺激をもらってもあたらしい発見や解決は見つからないということである。

2つ目は、"open & creative mind"である。"そうぞう"というと日本語ではimaginationの"想像"とcreationの"創造"の2つが同音異義語である。一見2つは違うようであるがcreativityを高めるには、imaginationも大変重要であるし、なりよりも研究を進めていくためには、openなmindでなければならない。3つ目の"healthy mind"は、大学院での研究生活を過ごしていく上で、もっとも重要なことである。このhealthy mindとhealthy bodyがなければ、良いアイデアなどは生まれてこない。

会場では、キラッと輝いた目をした大学院生たちが多くみられた。この輝きを失うことなく、充実した大学院生活を送って欲しい。

それにしても、ピリッとしたスピーチはむずかしい。<

(掲載日:2004/10/15)

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