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2006.12.01

ひたむきな姿勢|徳田英幸(政策・メディア研究科委員長)

11月中旬、何十年かぶりに矢上キャンパスのグラウンドでソフボールの試合に参加した。WNETという集まりで、これはSFCにいた戸辺義人先生が東京電機大学に移られて始めたネットワークに関する学生たちのワークショップである。今回は、その最終会ということで試合が企画され、東京大学、東京電機大学、芝浦工業大学、慶應義塾大学、NTTドコモ研究所のチーム間で試合が行われた。かつてテニスでアキレス腱を切っている身としては、絶対急に走らないことを心がけての練習・試合参加とあいなった。我々は、理工学研究科の寺岡文男研と合同チームを組み、東京電機大学と対戦した。6回裏に同点に追いつかれたが、7回の大量得点で20-13で慶應合同チームが勝つことができた。

11月下旬の22-23日に、ORFが今回は、丸の内地区で開催された。丸ビル、三菱ビル、東京ビル(ギャラリアTOKIA)の3箇所で行われ、我々のデモ・展示も、3箇所に分散された。搬入・搬出の時間制約やら、出入り口のそばでの寒さもあり、学生たちもいろいろ意味で大変なORFであった。OBOGが今年も立ち寄ってくれ、打ち上げにまで差し入れをもってきてくれたのにはグッときたものがあった。

さて、今回のお題の映画であるが、仕事がら、どうしてもSF的な映画を見ていることが多いかも知れない。最近では『マイノリティレポート』の中にあったフォローミー型広告表示、虹彩認証システム、動画編集用インタフェースや『マトリックス』におけるヘリコプター操縦用プログラムのダウンロード場面などが記憶に新しい。しかし、心にグッときたSF映画としては、アンドリュー・ニコル監督の『ガタカ』がある。

宇宙飛行士になりたいという夢をもった青年が主人公である。しかしその未来社会では、ごく微量の血液からのDNA検査などで適正検査の合否も判断されてしまう。髪の毛一本からも検査され、断定的な判断がされてしまう社会となっている。彼の生まれながらの体では、視力も、運動能力も劣っていてとても宇宙飛行士にまでなりえない。しかし、彼は、決して夢をあきらめず、夢にむかって精一杯生きていく。このひたむきな姿勢がグッとくるのである。ストリーの結末は、ぜひ映画をDVDで見て頂ければと思う。

同じようにひたむきな姿勢で思い出すのが、VHS誕生までのストリーを日本的人情話にしたてあげた佐々部監督による『陽はまた昇る』である。西田敏行演じる主人公が、ものづくりにかけたひたむきな姿勢と情熱がひしひしと伝わってくる映画である。これもグッとくるのである。

夢に向かってひたむきに努力する姿勢、ものづくりに対する真摯な姿勢、これらの映画は、その大切さを思い出させてくれる。

(掲載日:2006/12/01)

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