MENU
Magazine
2006.08.24

体力と気力|冨田勝(環境情報学部長)

世の中にはいい歳をして、自分は若いと信じ「青春ど真ん中」にいるつもりの大人がたまにいるが、何を隠そう私はその一人だ。私はいまだに「若者」というか「少年」のつもりでいる。

学生のボーリング大会や卓球大会で人一倍ハッスルするのは私である。ボーリング部や卓球部経験者がいたりすると勝てないけれど、そうでなければたいてい私が優勝する。ちなみに私はボーリングも卓球も素人である(部活とかでまじめにやったことがない)ので実力というより気力の勝利といえよう。

また昨年の研究会合宿の余興では、数字を記憶する記憶力ゲームのトーナメントが行われたが、それも執念で優勝を勝ち取った。48歳が学生相手に、これは結構すごいことではないか? このゲームはだいたい年齢の若い方が勝つ。だから決勝進出したこと自体がすでに大番狂わせだったのに、決勝で修士1年の谷内江望君を破ったときは、みんなの拍手が一分間鳴り止まなかった。:-)

加齢とともに老化して「体力」が低下することは、ヒトも生物である以上避けることはできないが、それを「気力」と「作戦」と「執念」でカバーすることができるから勝負事は面白い。

しかし上には上がいるものだ。先月行われたSFC教職員のボーリング大会では、佐々木三男先生に土壇場で逆転され僅差で優勝を逃してしまった。佐々木先生は私よりひとまわりも年上である。途中何度も突き放すチャンスがあったのだが、しぶとくスペアを重ねくらいついてくる、実にいやな相手だ。そして最後の最後に「執念の」ダブルを出されて逆転負けを喫してしまったのである。

佐々木先生はやっぱりすごい。脱帽です。

(掲載日:2006/08/24)

→アーカイブ