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2006.10.13

Now It's Time: キャンパスインフラの構造改革|徳田英幸(政策・メディア研究科委員長)

1988年、SFCキャンパスの完成する2年前の夏、我々はあるミッションを持ってボストンに集合した。全米でいちはやくWired Campus環境を構築していた大学や企業の現状を2週間かけて調査した。当時、私の勤めていたCMUは、全米でもはやくからARPANET(現在のインターネットの前身)やキャンパス情報インフラを整備した大学であり、Multi-institutionalワイドなAndrew File Systemを整備し、どこからでも安全に情報共有ができるサービスを提供していた。分散コンピューティングの技術が広く浸透し、全米中の大学が先を争ってキャンパスネットワークを整備していた時代である。

今から、18年も前のことであり、クローズでWebもなかった時代である。情報共有のメカニズムは、圧倒的に大学や研究所で生産され、研究者のコミュニティといった限られた範囲で使われていた時代である。

一方、現在はどうであろうか? Webの出現から進化は加速し、Googleのサービスなどにより、情報を共有したり、発信する新しいメカニズムは次々と生産され、よりオープンな形でのGlobal Mash-upが実践されてきている。

キャンパスインフラの視点から整理すると、Wired Campusから始まり、Wireless Campusに進化し、ユビキタス環境を実現したSmart Campusへ向けての次なる飛躍が見えてきている。1980年代のモデルから始まり、ワイヤレスへと発展したCNSネットワークであっても、20世紀型のネットワークアーキテクチャである。情報だけでなく、あやゆるモノや人、リアルオブジェクトがシームレスに接続した21世紀型のユビキタスネットワークを新しいキャンパスのインフラへと進化させていかなければならない。

モバイル通信技術の発展により、コミュニケーション機能は、ユビキタス化が実現され、「いつでも、どこでも、だれでも」利用することが可能となった。問題は、次の、「なんでも」である。あらゆるモノとのコミュニケーション機能や、柔軟なコントロール機能やコラボレーション機能の普及は、これからである。

実際に、サイバー空間上の情報だけでなく、あらゆるモノや人、リアルオブジェクトがユビキタスネットワークに接続され、人々の行動を支援できるユビキタス環境は、off-the-shelfにはまだなっていないのが現状である。我々大学が研究開発を先導してきている分野でもあるが、企業との連携なしではSmart Campusを実現できないと思っている。

Overdueにならないためにも、Now it's timeである。

(掲載日:2006/10/13)

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