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2006.10.26

スポーツ界の構造改革|大西祥平(健康マネジメント研究科委員長)

ウインタースポーツは学生時代から、特にスキー、スケートは楽しんでおりました。しかし、これらは全くのレクリエーションとしてで、この私がトップアスリートの祭典であるオリンピックにメディカルドクターとして参加するとは、当然の事ながら若いときには夢にも思っておりませんでした。

2002年のソルトレークオリンピック、そして2006年のトリノオリンピックに2大会続けて、日本選手団本部ドクターとして参加しましたが、皆さんもご存知のように惨敗でありました。この言葉はともに戦ってきた選手を思うと非常に悲しくなる言葉では有りましたが、事実は事実として各競技団体は厳粛に受け止めておりました。

何故惨敗だったのでしょうか。私は日本オリンピック委員会(JOC)医学サポート部会員、全日本スキー連盟理事・情報医科学部長として二つの大きな組織の中に入っている中で強化現場には非常に密接な状態にあります。その日本オリンピック委員会は2002年にメダル倍増計画としてゴールドプランを立ちあげました。2000年9月13日に文部科学省により「スポーツ振興計画」が策定され、その事業目的から日本の国際競技力の総合的な向上方策を築き上げる責務がJOCにありました結果のゴールドプランであります。

これはスポーツの構造改革にあたります。本プランは「強化プログラム」と「環境整備プログラム」の2本柱でまず成り立っています。強化プログラムでは、競技者を対象として強化トレーニング事業を主とした「アスリートプログラム」、指導者を対象とした「ナショナルスタッフプログラム」と「ナショナルコーチアカデミー」そして「競技者育成プログラム」に分けられ、競技者と指導者の育成強化プログラムを作り上げていこうという事であります。また、環境整備プログラムはナショナルトレーニングセンターをスポーツ強化の拠点として構築していこうという計画であります。これはアテネオリンピックの好成績により小泉前首相の鶴の一声も合わさり、北京オリンピックの年には完成する勢いになりました。

日本オリンピック委員会による競技者の強化育成に関しての構造改革が叫ばれ実行に移されている中、冬の競技団体として全日本スキー連盟や全日本スケート連盟も、トリノオリンピックの惨敗を境にして、強烈な圧力を受けながら強化に邁進しなければならない、そのためには古くからの組織を変更し、勝つための組織へと、実際に活動できる、アクションプランを達成し得る組織へと改革していかなければならない状況にある事を皆さんに情報提供致します。

(掲載日:2006/10/26)

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