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2008.09.19

国際的なトレーニング|徳田英幸(環境情報学部長)

春学期の学事日程がほぼ終了した8月上旬から下旬にかけて、学生諸君や教職員の方々と海外で行われた国際ワークショップと米国大学のレジデンシャルプログラムの視察に参加した。

1つ目は、フィンランドの大学やドイツの大学のユビキタスコンピューティング(UbiComp)関係のプロジェクトの方々と日本の研究者との国際ワークショップである。フィンランドの大学の博士課程の学生たちが、積極的に日本の大学に長期滞在したり、我々のグループとドイツの大学の研究者との共同研究が縁で、今回はOulu大学にてワークショップを開催する運びとなった。夏にも関わらず、Ouluは、最高気温が16℃という寒さすら感じる気温であったが、かなり充実した意見交換ができた。それにしても、ワークショップの夕食会で、フィンランドの若手研究者たちがお水のごとくビールをグイグイ飲み干していたのにはびっくりであった。


Oulu大学にて

2つ目は、Ouluより南に下ったPori市で、フィンランドのTampere工科大学のビジネススクールの人たちやUbiCompをビジネスに展開している企業の方々とのワークショップに参加した。Tampere大学のHannu Jaakkola先生とSFCの清木康先生たちのグループとの交流がベースとなっている。SFCとの大学院レベルでの交換プログラムやフィンランドで計画されつつあるUbiCompアプリケーションのビジネス化プランなど幅広いテーマについて議論することができた。地元のPori市の新聞記者が取材に来ていて、インタビューを受けることとなった。記者から、社会とUbiComp技術の調和は可能か?本当に人々の生活を豊かにできるのか?といった質問を受けたのだが、早速翌日の紙面にはインタビュー記事が掲載されていた。ワークショプ終了後は、Pori市長のサマーコテージに招待され、フィンランド側の人々と、サウナに入って、文字通り、裸の付き合いをする機会に恵まれた。それにしても、全人口が横浜市の1/2にも満たないのに、Nokiaをはじめ国際的に活躍している企業が多いのは、やはり驚異である。教育システムが優れているからであろうか?

Pori市にて

3つ目は、台湾でのワークショップで、台湾大学がホストになり、慶應大学だけでなく、東京大学、早稲田大学、東京電機大学などから学部生、大学院生を集めての研究発表会という形で開催された。たまたま、UC BerkeleyのEECSのChairをされているProf. E.A. Leeも会場に来ていたので、アジアの学生たちの研究テーマだけでなく、発表スタイルなどに関してもお話する機会があった。発表自体は、それほどひどくないとのコメントを頂いた。しかし、質疑応答になると、受け応えがスムーズに出ない人もちらほらといた。もちろん、はじめて英語で発表する学生たちもいたのであるが、相手の質問をリアルタイムで理解でき、それに対して適切な応答ができるかがいかに大切であるかを痛感してくれたのではないかと思っている。これら若手研究者たちが国を飛び越えてアジアの中でネットワークを作っていってくれればと願っている。

台湾にて

4つ目は、SFCの未来創造塾検討グループのメンバーと、この夏、米国の主要大学における滞在型教育や新しい教育研究環境などについての視察合宿をおこなった。スタンフォード大学、カーネギーメロン大学、MIT、ハーバード大学、バージニア大学の方々と、その理念、教育内容、運営組織、寮や教育研究棟のアーキテクチャ、夏期休暇中や非常時への対応などについて意見交換を行った。大学創設当初より、学部1年生全員に対して滞在型教育を採用している大学が主流の米国においては、Freshman Dean's office, Fellow, Staff, Residential Assistanceなど、さまざまなスタッフや制度が確立されている。授業での教育に加えて、滞在型教育を通じて、学問に対する知的好奇心やリーダーシップの慈養、コミュニティ形成の経験など学生たちの全人格的な教育に対して、最大限の工夫が詰め込まれていた。

アメリカにて

これら国際ワークショプや視察合宿を通じて、今回は、本当に得ることの多かった夏であった。一部の学生たちだけでなく、SFCのすべての学生たちがこのような国際的なトレーニングの場を経験できるよう努力していきたいとあらためて思った次第である。

(掲載日:2008/09/19)