執筆者・論考紹介
公共政策と変わる法制度

教育政策形成過程の問題点――大学一般入試への英語四技能試験導入の挫折を例に

鈴木 寛

鈴木 寛

何を論じたのか

文部科学省の政策形成の特徴について、40年ぶりの大学入試制度改革、とりわけ、英語四技能入試導入挫折の顛末を例にビビッドに紹介した。教育政策は、ほとんどの人が児童・生徒として、または、保護者としての教育に関する何らかの経験をもっているため、誰もが独自の感想や意見や関心をもっている場合が多い。一方で、だれしも、それぞれの過去の経験を過度に一般化しすぎる傾向もある。加えて、視聴率を稼ぎたいメディアも多くの人々が関心を誘うようにセンセーショナルに報道をしがちである。そうしたなかで、専門家たちがトレードオフのなかで吟味を重ね積み上げてきた議論が、メディアの取り上げ方次第では、ある日突然、逆風が吹きはじめ、水疱に帰することがある。教育政策形成過程の特徴を明らかにするとともに、より教育政策の振幅を減らしていくための方策について検討している。

執筆者の研究紹介

政策形成過程全般に関して、ユーティリタリアンでは語りきれない一見合理的な政策が形成されない理由について、公共哲学も留意しながら研究を進めている。また、教育政策、医療政策など、情報の非対称性が解消されず、サービスの個別性が特徴であるソーシャル・ヒューマン・サービスに関する公共政策の形成の在り方について検討している。昨今は、ウエルビーイング(特に主観的)について測定と関連政策について検討を進めている。

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