執筆者・論考紹介
言語文化とコミュニケーション

医療専門職養成課程モデル・コア・カリキュラムに見る「コミュニケーション」の捉え方

杉本 なおみ

杉本 なおみ

看護医療学部 教授

何を論じたのか

医療系学部の教育は、文部科学省の推進する教育政策のみならず、厚生労働省の所掌である医療政策にも大きな影響を受ける。その意味において、医療系各分野の学部学生が卒業時までに身に付けておくべき能力を示したモデル・コア・カリキュラム(コアカリ)は、医療と教育双方の質保証を求める社会の要求に応じて定められた政策文書であると捉えることができる。そこで本稿では、特に近年医療者教育で脚光を浴びることの多い「コミュニケーション」に関する知識・技能・態度が、医学・歯学・看護学・薬学のコアカリにおいてどのように取り上げられているかにつき相互比較を行うと同時に、コミュニケーション学における共通の学問的前提と照らし合わせて論じた。全体としては「コミュニケーション学の考えるコミュニケーション」像に近づきつつあるが、今後は立案段階からコミュニケーション学専門家が参画することにより、教育・医療現場における真の問題解決に資する内容を伴ったコアカリの策定が望まれる。

執筆者の研究紹介

日本医学教育学会認定医学教育専門家。専門はコミュニケーション学。対人コミュニケーション学を中心に、米国にて異文化コミュニケーション学・コミュニケーション教育学・教育コミュニケーション学を修める。2001年慶應義塾大学看護医療学部着任を機に医療コミュニケーション学に転向し、医師・歯科医師・助産師・看護師・歯科衛生士・診療放射線技師・臨床検査技師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・介護福祉士・救急救命士領域の学会・職能団体や医療職個人の要請を受け、共同研究や研修といった形での協働を通じて臨床・教育の場でのコミュニケーション課題の解決に尽力している。

研究紹介フォト

上記研究紹介で「医師〜救急救命士」はなぜこの順に並んでいるのでしょうか?その謎は「医学教育白書」を読むと解けます!)