執筆者・論考紹介
社会イノベーションの方法と実践

持続可能な社会構築のためのグリーンインフラ

一ノ瀬 友博

一ノ瀬 友博

環境情報学部 教授/環境情報学部長

何を論じたのか

グリーンインフラは20世紀末に使われるようになってきた言葉であるが、コンクリートを中心としたインフラをグレーと呼ぶのに対し、自然の仕組みに立脚したインフラという意味で使われる。急激な気候変動や生物多様性喪失が予測される中で、重要な適応策になると考えられている。日本は人口減少・超高齢化という社会課題も抱えているが、一方で土地に対する開発圧は軽減されるのでグリーンインフラの導入可能性は高いと言える。本章では、IUCNがより包括的な考え方として提案している自然に根ざした解決策(NbS)も含め、グリーンインフラがいかに社会イノベーションに貢献できるか議論する。

執筆者の研究紹介

学位取得までは、鳥類の分布と生息地の面積や構造、孤立性との関係を分析し、動物相に配慮した緑地計画のあり方について研究してきた。日本学術振興会特別研究員、兵庫県立大学准教授、マンチェスター大学客員研究員、ウィーン工科大学客員研究員、ヴェネツィア大学客員教授、慶應義塾大学准教授などを経て、2021年10月より現職。都市における生態的ネットワーク計画手法、持続可能な農村地域の再生、日本におけるグリーンインフラや自然に根ざした解決策(NbS)のあり方について調査研究を行っている。