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SFCの現場
2021.07.01

柳澤 大輔 特別招聘教授 「テクノロジーとクリエイティブで地域をより面白く 『まちのコイン』」

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政策・メディア研究科特別招聘教授 柳澤 大輔
面白法人カヤック代表取締役CEO

担当科目:特別研究プロジェクトB (創造みらい)

1998年、慶應義塾大学環境情報学部の同級生だった3人で面白法人カヤックを創業しました。

事業内容は「日本的面白コンテンツ事業」。つまり、面白いことならなんでもやります。最近では、アカツキライブエンターテインメントさんと企画運営した「うんこミュージアム」にお越しくださった方もおられるかもしれません。

創業からまもない2002年、都内から鎌倉に本社を移転したのは、SFC時代、3人でよく鎌倉に遊びにきて「いつか、こんなところにオフィスを構えて、思いきり仕事して、思いきり遊びたい」と考えていたからです。

それから20年近く経ち、2018年には『鎌倉資本主義』という書籍を上梓しました。人のつながりや環境、文化といった目に見えない資本を資本主義の仕組みを使って増大することで、持続可能な成長を実現できるのではないかという考え方です。鎌倉市・逗子市・葉山町に住む社員には、職住近接手当を支給しています。

昨年11月には、鎌倉市と慶應SFC研究所が「創造みらい都市実現に関する包括連携協定」を締結しました。SFC研究所の先端的なテクノロジーをまちづくりに活用しようとするもので、伝統と革新を併せ持つ鎌倉ならではの取組だと思います。

その古巣であるSFCと組んで「まちのキャンパス」プロジェクトを立ち上げます。SFCの学生たちが鎌倉に一週間滞在し、まちを歩いたり企業や人の声を聞きながら、市民がSDGsに参加できるアイデアを企画し実践するワークショップです。

このプロジェクトでは、カヤックが運営する「まちのコイン」という地域通貨アプリを活用します。

地域通貨は、これまで何度かブームがありました。多くは、域内での消費増加を狙いとした地域振興券のようなもの、あるいは地域住民の相互扶助を目的としたお手伝いポイントのようなものでしたが、テクノロジーの発展によって、新たな局面を迎えています。

「まちのコイン」は、地域コミュニティを活性化したり、まちや海や山をきれいにしたり、フードロスを減らすといった体験を通じて流通します。つまり、地域ならではの資本の増大に貢献する役割を持っています。現在、神奈川県「SDGsつながりポイント」でも活用されています。

最近では、難民認定を待つ人たちを支援する鎌倉の「アルペなんみんセンター」が参加スポットとなり、入居者の特技を生かした体験や母国を知ってもらう料理づくりなどを「まちのコイン」と引き換えに提供してくれています。仕事に就くこともできず、認定を待つしかない時間にも、地域の人との交流を通じて、みなさんの表情が明るくなったそうです。

いわゆる法定通貨は、労働やさまざまな価値を数値化してきました。それは、とても便利なものです。ですが、既存のお金だけでは、どうしても取りこぼしてしまうものがあります。投資して利益を最大化する、つまり時間と共に実質的な利子がつくという性質を持つために、環境を損なったり、行き過ぎた格差を生み出してもいます。

であれば、法定通貨に加えて、お互いが持つ能力や体験を尊重し合ったり、まちや環境をきれいにしたいと思えるお金があってもいいのではないか。「まちのコイン」は、そんなところからスタートしています。

僕は在学中、武藤佳恭先生(現 環境情報学部名誉教授)のゼミでニューラルコンピューティングを学びました。SFCは、最先端のテクノロジーだけでなく、クリエイティブやまちづくりなど、文系・理系の枠組みを超えて学ぶことのできる稀有な場だと感じています。

「まちのキャンパス」プロジェクトを通じて、地域ならではの持続可能な取組みが生まれたらと願っています。そして、テクノロジーやクリエイティブの力で、日本のあらゆる地域がそれぞれの多様性を再発見し、面白く暮らすことができる。そんな未来につなげていきたいと思います。

まちのキャンパスプロジェクト 特別講義 第一弾
「鎌倉でみつける身近なSDGsとまちづくりのジブンゴト化」」
日時:2021年9月14日(火)~9月20日(月)
場所:鎌倉市内
詳細:https://kamakura.sfc.keio.ac.jp/