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SFCの現場
2015.09.01

中澤 仁 研究会 「街・人・メディア」

環境情報学部 准教授 中澤仁

専門分野:
ユビキタスコンピューティング

人・モノ・空間がもつ無限の情報
それを集め、流通させ、役立てる

私たちの周りには、まだ活用されていない情報が数多く存在します。人・モノ・空間から得られるあらゆる情報を活用することで、より知的で、安心・安全に暮らすことのできる街「スマートシティー」を実現することができます。当研究会はそのために、情報を収集し、集めた情報を処理し、流通させ、分かりやすく表現するための研究を行っています。

物理的な空間から情報を収集するための基礎となる技術は「センシング技術」です。各種のセンサーを使用して、現実の空間からさまざまな情報を収集します。
インターネット上から情報を収集する技術も大切でこれは「センソライズ技術」と呼んでいます。インターネット上には大量の情報が蓄積されていて、その量は増え続けています。そのために、必要な情報を取り出す技術が重要になってくるのです。

収集した情報をどのように処理するか、そして新しい価値ある情報を作り出すかという点も大きなテーマの一つです。集めたデータを組み合わせて新たな情報を生産するには、ユニークな発想が必要になります。
また、情報を分かりやすく表現して、伝えることも重要なテーマです。そのためには、ときにはこれまでにないメディアを創造することも必要になります。

カメラ、センサー、GPS......
複数の方法で情報を集め、発信する

これまでの情報を収集する方法にはどのようなものがあったでしょうか。代表的な方法は、全体の一部分だけを調べる「サンプル調査」です。しかし、安心や安全に関わる分野ではサンプル調査では理解を得られない場合もあります。そこで有効になるのが、センサーなどを活用して調査ポイントを大幅に増やす方法です。例えば、環境省の大気汚染物質広域監視システム「そらまめ君」は全国1700カ所でPM2.5をはじめとした大気汚染物質の濃度を測定しています。

点ではなく、線の情報が必要な場合もあります。それは例えば、道路の傷み具合についての情報です。これは、いつも同じコースを走るゴミ収集車にカメラを取り付けておくことで解決します。道路の補修は利用者からの要望を受けて行っていますが、道路の情報を蓄積することで、補修が必要な場所を予測できるようになれば、行政コストを削減することが可能になります。

情報収集系のデバイスとしては、ドローン(無人飛行体)にも大きな可能性があります。GPSやカメラなどを搭載することで、豊富な情報をきめ細かく収集することが可能になります。

ゴミ収集車のような公共的な役割を持った車両は、新しい情報発信のツールとしても有効だと考えています。大地震の際の津波情報は一刻も早く知らせる必要がありますが、防災無線だけでは不十分なのが実情です。そこで、人工衛星を経由して、ゴミ収集車に搭載した拡声器から津波情報を発信するのです。衛星通信ですので、万一、地上の通信設備に被害があった場合でも、必要な情報を発信することが可能になります。

「インタラクティブ」も「スマートシティー」のキーワードのひとつです。例えば単に観光案内情報を表示するだけでなく、利用者との間にコミュニケーションを発生させることで、より効果的な情報発信や、行動を促すことにつながる場合があります。当研究会では、パブリックディスプレイを使用した実証的な実験も行っています。

使われていない「埋没オープンデータ」を
発掘して、活用するための技術

新たなデータの収集だけではなく、すでに存在しているデータの活用も重要な研究テーマになっています。存在しているが、活用されていないデータを「埋没オープンデータ」と呼んでいます。

代表的な埋没オープンデータの例として、先ほど紹介した「そらまめ君」が挙げられます。そらまめ君の測定データは公開されていますが、1時間毎に更新されてしまいます。時間的な変化を知りたい場合には、環境庁からデータを取り寄せる必要がありますが、それでは不便です。そこで、更新される情報を自動的に収集する「センソライザー」というアプリケーションを開発しています。これによって、ニュースのヘッドラインのような、常に更新されていく情報を抽出して、再利用することが可能になります。

このように蓄積されたさまざまな情報を、現実の社会で有効活用するためには、「実社会ビッグデータ」という手法が必要になります。天候、工事や事故などのさまざまなデータを組み合わせることで、例えば、正確な渋滞の予想も可能になるでしょう。ある情報とある情報にどのような関係があるかを分析する「機械学習」も当研究会の研究テーマの一つです。

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