ミュージックサイエンス

政策・メディア研究科 修士課程1年
大穀 英雄

所属プログラム:エクス・デザイン(XD)

科学とデータの力で、人類の音楽性を探求

 人間社会の中で、音楽が果たしている役割に魅了されていました。なぜ人間だけが音楽を鑑賞したり、創作したりできるのでしょうか。なぜ人間だけが、そのような能力を進化させたのでしょうか。音楽の役割のひとつは、私たちに帰属意識や一体感を与えてくれること。そして音楽体験には、時間や世代を越えて伝わる普遍性もあります。このような音楽の特性は、科学や数学の力で説明できるのではないかと考えてきました。そんな可能性に気がついたきっかけは、SFCで受講した藤井進也准教授の授業。「音楽と脳」をテーマにした講義で、人間性と科学の深いつながりに驚愕しました。そこで藤井先生が代表を務めるSFC研究所の「エクス・ミュージック・ラボ」にも参加し、比較音楽学と計算音楽学を専門とするパトリック・サベジ准教授の研究会で独自の研究を始めました。多文化を飛び越える音楽の普遍性についても考え続けています。

コンピュータによる解析で、音楽、行動、進化に関する異文化間のさまざまな問題を理解するのが研究の目的です。実施している調査は、ワールドミュージックの自動分析を通して、人間が音楽の類似性をどのように知覚しているのか見極めること。人々が音楽を聴くパターンや、好みの音楽などを予測できる高度なアルゴリズムの生成を目指しています。またこの研究を利用して、グローバルな規模で音楽や文化を学べるツールも作りたいと考えています。おすすめの音楽リストを生成するアルゴリズムは有名ですが、もっと面白いのは、その人が音楽の「どこ」を聴いているのか分析することです。リズムを聴いているのか、声質を聴いているのか、同じ音楽でも人によって聴き方が異なるはず。この研究分野には興味が尽きません。

自由度の高いカリキュラムで独自の研究を進め、ミュージックサイエンスの視野が広がりました

 大学院政策・メディア研究科には、ユニークな研究分野の専門家がたくさん在籍しています。教員と学生は学術分野で数々の実績を残していますが、もっと重要なのは、実社会に深く関与しながら研究を続けていけること。現実の世界に適用できるプロジェクトだからこそ面白いのです。サイエンス、アート、テクノロジーが、ここまで密接に連携している研究環境は他にありません。現在SFCで開拓されている研究分野は、これから世界が向かっていく未来にも呼応しています。

SFCで研究を進める最大のメリットは、新しい技術を応用しながら目前の複雑な問題を解決できること。エクス・デザイン(XD)プログラムに所属すれば、多彩な専門分野の教授陣から思いがけないフィードバックもいただけます。研究に必要な費用は、さまざまな研究助成やリソースで賄えました。このようなサポートがなければ、現在の規模で実験を進めるのは不可能だったでしょう。またSFCの教授陣は、世界トップクラスの研究機関と連携しており、ミュージックサイエンスのさまざまな学会と交流があります。おかげでパリやバンコクの学会に出席したり、ロンドン大学クイーンメアリー校の客員研究員として学ぶ機会を得ることが出来ました。また研究の成果を「KEIO SFC JOURNAL」で発表した経験から、より著名なジャーナルに研究論文を寄稿する自信もつきました。

研究室紹介

Comp Music Lab (サベジ・パトリック研究室)

キーワード:音楽、心理学、人類学、コンピューター・サイエンス、文化的進化、デジタル・ヒューマニティーズ

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