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おかしら日記
2024.01.24

学部生向けの研究助成 |総合政策学部長 加茂 具樹

一月になり、大学は秋学期の締めくくりの時間を迎える。学生は期末試験の準備に本腰を入れ、提出が求められている論文の執筆に熱がこもる。キャンパスの空気は学期末っぽくなる。

教員が期末試験の答案を採点し、また提出された論文に目を通して成績の評価付を済ませると、大学は一般選抜試験を迎える。総合政策学部は2月17日(土)に、環境情報学部は2月18日(日)、看護医療学部は一次試験が2月11日(日)、二次試験が2月20日(火)である。そして3月に入れば、大学は卒業生を送別し、新学期の講義の準備に着手する。

一方で学生は、2月、3月になると、学期中に取り組むことができなかった比較的大きな問題関心や、より根本的な問いと向き合う時間を手にする。多くの学生は、キャンパスが設けている研究助成制度を利用して、国内、そして世界の各地に飛び出して行く。

今日は、SFCの学生向けの研究助成制度が、学部生をも対象としていることについて話してみたい。

「学部生向けの研究助成」という言葉に、「ふーん」と思われるかもしれない。が、「学部生向けの奨学金」はよくあるが、「学部生向けの研究助成」はめずらしい。

一般的に、研究をするために必要な研究資金を助成する制度は大学院生が対象である。しかしSFCは、そこに学部生を含めている。つまりSFCは、学部生も研究する、と考えている。競争的研究資金を得るために、学部生も研究テーマを立て、研究計画書を作成し、研究遂行に必要な予算項目を見積もる。

この制度設計は、SFC、とくに総合政策学部と環境情報学部の学部生は、一年生から、専門性のより深い教育研究を展開する研究会(いわゆるゼミナール)の履修を認められていることと、関係している。

一般的には、学部生がゼミに入るのは三年からである。SFCの教育研究が設定している研究会の履修を開始できる時期は、驚くほど早い。もちろん、何時から研究会の履修を選定するかは学生の自由である。なぜ、そうした研究会制度を設計したのか。そこにはSFCの教育研究についての考え方の特質が強く反映されている。

例えば、「問題解決、問題発見」型の教育研究を奉じているSFCの総合政策学は、社会の問題は必ずしも特定の学問領域に立ち現れるわけではないということ、そして問題を解くための有効な政策的判断を導くためには複数の学問領域からの視点が必要である、と捉えている。

経済活動を対象とする経済学、法律を扱う法学、政治現象を分析する政治学があるけれども、これに対して総合政策学は、既存の学問領域とは異なる性格を持つ。既存の学問をdiscipline orientedの学問と捉えるのであれば、総合政策学(SFCの学問と置き換えてもよいでしょう)はissue orientedの学問といえる。より正確にいえば、総合政策学はdiscipline orientedの学問を前提としながらも、社会問題の解決の方向性と具体的な解決手段である政策を検討し、そのあり方を模索するissue orientedの学問と捉えている(例えば、2023年春に刊行したブックシリーズ「総合政策学をひらく」の五巻本は、SFCで展開する総合政策学を、五つのissueで可視化していると理解してよい)。

SFCの教員は、こうした考え方に賛同した受験生が、SFCの学部を選択し、選抜試験を突破して入学してくると想定している。だからSFCは、1年生からの研究会の履修を期待し、そのために必要な研究資金を支援する助成制度を設計した。もちろんSFCに進学してから研究関心を模索することも歓迎している。だからSFCでは、学生の関心の変化にあわせて、研究会を自由に変更することができる。

こうした理念を踏まえてキャンパス内に設けられている研究助成は、今学期のその助成対象者の選考を終えている。助成を受ける学生達は、2月、3月に国内、そして世界の各地に飛び出して行く準備をはじめているのだろう。

いま国際秩序は大きく変動している。国際社会が共有してきた価値と利益に対する認識は流動し、国際関係を形作る制度や規範といったゲームのルールは動揺している。秩序が変動しているのだとすれば、新しい秩序の萌芽は現在にある。そうであれば、この秩序の変動を感度良く捉え、冷静な現状分析が必要である。

そうした感度と冷静さを養うためにも、SFCの学部生は、研究助成制度を積極的に利用して、夏と春の長期休暇を利用して、広く世界に飛び出して欲しい。そうして新学期に、一回り大きく成長して、キャンパスに戻ってくることを大いに期待している。

研究助成・研究活動支援

加茂 具樹 総合政策学部長/教授 教員プロフィール