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おかしら日記
2020.04.07

桜の季節に|看護医療学部長 武田 祐子

20200407takedaIMG_0234_s.jpgいつものように美しい引地川沿いのほぼ満開の桜を眺めながら車を走らせ、いつもとは違う新学期を迎えたSFCキャンパスに到着しました。暖かな外気とは裏腹に、建物内の空気は冷え切ったまま、学生の姿のない校舎は静まり返っています。確かにいつもとちがう春に、誰もが不安のまま息をひそめているようです。

卒業式もなく、新たな門出を迎えた卒業生。この一月あまりの中で、様々悩み、大きな成長もあったように思います。慶應看護謝恩会委員会から2月最終週、2通のメールが届きました。1通は、教員宛の一か月後に開催予定の謝恩会案内メール。そして、もう一通は開催の是非を逡巡する相談メールでした。どう返信すべきか私も悩みながら、飲食を伴う大勢の集まりは、感染拡大のリスクが最も懸念される状況であることから、延期等の可能性を検討した方がよいであろうことを伝えました。学生の決断は素早いものでした。

1)集会の自粛が全国的に進められていること、2)催事の2週間後に大半の学生が医療職に就き.免疫の低い方の中で仕事をするというリスクが伴うこと、3)お招きする先生方の中には、病院に出入りする機会の多い方もいらっしゃること』を理由に、中止を決定したという報告は、塾から飲食を伴うイベント自粛の通知が出されたのと同日でした。理由として挙げられた、2週間後に入職を控えた医療職としての自覚には心を打たれ、とても頼もしく感じられました。それまで準備してきた謝恩会中止の決断は決して容易ではなく、辛い思いであったと思います。2011年東日本大震災で、同じように卒業式・謝恩会ができなかった先輩からも励ましのメッセージが届けられました。

私たち教員は、その潔い決断をした卒業生を誇りに思い、このような不確実な社会においても、看護医療の未来を切り拓いていく力を感じています。慶應看護100年を信濃町キャンパスで共に祝った第16期卒業生が、次の100年を確実に歩みだすその一歩に立ち会えた思いがしました。

看護医療学部第20期入学生を迎えた4月、信濃町キャンパスに続く総武線車窓から眺める神田川沿いの桜も満開で、それはいつもと変わらない美しい春の光景です。

そして今日、47日から慶應義塾では、新型コロナウイルス感染症の拡大にともなう学内施設の閉鎖が開始されます。

武田 祐子 看護医療学部長/教授 教員プロフィール