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おかしら日記
2019.12.10

待ち望まれる変態|看護医療学部長 武田 祐子

タイトルを不審に思われた方、ご安心ください。Metamorphosisです。

自宅北側の窓辺に置かれたプラスチック製の小さな虫かごには、先週蛹化した緑色の蛹が鎮座しています。娘は幼少時より虫好きで、容器一杯のダンゴムシや箱いっぱいのセミの抜け殻など、多くのお母さんが悲鳴を挙げそうな物体が数多く存在してきました。幸い(?)私も似たような子供時代を過ごしたので、家庭内での軋轢は生じていません。前述の小さな虫かごは、娘が成人した今でも様々な昆虫の保護シェルターとして活用されています。

夏は主に、裏山から落ちてくるクワガタやカブトムシ(こちらはおそらくどこかで飼育されていたのが脱走してきた?)が短期滞在します。多くは早朝に発見され保護されるのですが、夜間に樹液もないタイルの上をやみくもに動き回ってグッタリしているので虫ゼリーが提供され、活動が活発になったのを見計らって裏山に返されます。

秋から冬にかけてはイモムシが滞在します。ベランダのプランターで捕獲されるものもありますが、有機野菜から発掘されるものも多くあります。絵本の名作「はらぺこあおむし」にあるように青虫は終齢になるまで実によく食べます。昨年ミニバラの鉢で発見されたシャクトリムシは、蕾をキャベツのように美味しそうに一晩で平らげていました。これまで我が家で羽化したイモムシの多くは蛾であり、蝶は娘が小学生の時にミカンの枝ごと近所の方から頂いたクロアゲハのみです。蛾であってもイモムシから蛹を経て完全変態して飛び立つ様は、生命の神秘を感じます。変態についてはホルモンの関与や気温との関連などが説明されていますが、未だメカニズムの詳細は解明されていないようです。

緑色の蛹は藤沢地場産のカリフラワーからこぼれ落ち、調理台を這っているところで発見されました。カリフラワーをたらふく食べて1週間ほどで急に動かなくなり蛹化した青虫は、蛹の形態からモンシロチョウではないかと推察され、久々の蝶の誕生に期待が持たれています。

季節が廻り変態を遂げて飛び立つ蝶のように、春には多くの学生が学び舎を後にします。そろそろ娘にも羽ばたいて欲しいと願っている今日この頃です。

 

武田 祐子 看護医療学部長/教授 教員プロフィール