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おかしら日記
2019.10.22

就任にあたり感じた不思議な「縁」|看護医療学部長 武田祐子

おかしら日記再開と聞き、何故いま?という疑問は、発案者である加藤さんがおかしらとして執筆(「おかしら日記」のはじまり2019.10.01)されているのを拝見し、早々に解消されました。そして、発案への思い入れを知ることができました。読者としては確かに面白い企画であり、楽しく拝見してきましたが、立場が変わるとこれは結構大変かもしれません。特に私のように筆不精、小学生の時から筋金入りの作文嫌いの人間としては、正直気が重いところもあります。でも、自らは決して踏み入れることのない経験をさせて頂くのも何かの縁と考え、今回は「縁」というテーマにしてみたいと思います。

この度の学部長就任にあたり、最初のお仕事(?)は、広報用写真撮影でした。作文同様にカメラ写り嫌いの私は、少々気が重く指定の会場に向かいました。そこで撮影を担当くださるカメラマンの方からご挨拶頂いたのですが、そのお名前を伺い、慶應に赴任した当初に聞いた父の言葉を思い出しました。父の親しい友人の「息子さんが慶應専属のカメラマン」で、「知らないか?」ということだったのですが、赴任早々存じ上げているはずもなく、その後は様々な義塾の写真の撮影者としてお名前を拝見することはあってもご挨拶する機会もないままでした。それがこのタイミングで、撮影を担当くださるということで、いきなり「お父様の友人の娘です。」と自己紹介。しばし家族の近況について情報交換などさせて頂き、リラックスモードで撮影していただくことができました。それでも慣れないポージングに顔の筋肉が強張っていましたが。

父は塾員でしたが、義塾の話を聞いた記憶はほとんどなかったのが、私の赴任を機にせっせと塾への寄付に勤しみ、塾員招待会に赴き、「塾長の話を聞いて来たぞ」から始まり、ゼミの思い出話まで、嬉しそうに話していました。社中協力、塾員の母校愛の強さを身近に感じるものでした。その父も今年一月に92歳で亡くなりました。学部長就任をおそらく誰よりも喜んでくれたであろう父の仏前に、父の親しい友人のご子息が撮ってくださった写真と共に報告できたことは、不思議な縁を感じさせるものであり、ちょっとした親孝行ができたように思いました。

これは余談ですが、縁ということでは、慶應で教鞭をとっていた母方の祖父の家に、父が下宿したことが母との馴初めでした。私が生まれ、義塾で働いていることも不思議な縁を感じます。

武田祐子 看護医療学部長/教授 教員プロフィール