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おかしら日記
2008.04.10

こだわりの文房具|山下香枝子(看護医療学部長)

「文房具」という言葉を日常の中で使用することが少なくなっている気がします。たぶん「文房具・文具」という言葉でイメージするものが、書くために必要な道具であるペン、インク、万年筆・ボールポイントペン・筆・鉛筆・消しゴム・ノート・紙・物差しなどであるのに対して、最近ではそれらが、パソコンのキーボードとマウスに取って代わってきているためなのかなと考えます。そういえば、文房具が、「書くために必要な道具」と定義されるのであれば、私が愛用しているパソコンのキーボード・マウスやプリンターは書くための器機であるが、広義の文房具に入るに違いないのでは・・などと考えたりしています。

「こだわりの文房具」と聞くと、こだわっているものが3つあります。1つは、今では誰も使っていないであろうと思われる、「竹製の物差し」です。これは、私が子供のころ、母が着物を縫うときに使用していたものですが、これを見ると、母のぬくもりや丹念さが伝わってくるようで、私が何か新しいプランをたてたり、精魂込めて仕上げたい表を作成するときなどに、この少しすり減っている物差しを使って線を引きます。線はなかなか一直線には引けませんが、意識を集中して上手く引けた時には、新しい計画がスムースに進むと念じているからでしょうか、非合理であると知りつつも、気がつくとこの物差しを使っています。

2つ目は2Bの「MITSUBISHI-uni」の鉛筆です。2Bの持つ柔らかな書き味は、無意識のうちに様々な思索を書く動作として身体化し、文字として残してくれ、卓上に置いてある大きめの雑記帳に、好きな言葉や気に入った誰かの詩を書き留めたり、自作の俳句(?)をメモし、あるいは精魂込めて書きたい手紙の下書き(最近はほとんどありませんが)や、創案をまとめるときの必需品になっています。2BあるいはBの鉛筆との出会いは、私の思春期であったように記憶していますが、柔らかな書き味に魅せられて、なお現在も愛用し続けています。因みにこの鉛筆の創業は1887となっています。

3つ目は、この原稿を書いているパソコンのマウスです。このマウスは私の掌にすっと入り、適当な堅さと柔らかさが合って安定しており、意識しないうちに私の思索を助けてくれ、気に入りのものの一つです。気がかりなことは、このマウスの差し込みがユニバーサルではないので、コンピュータ本体を新機種に変更する時期がきたときに、このマウスとのつきあいの行方がはっきりしないことですが、今後もできるだけ仲良くつきあっていきたいと考えています。

このように、私の「こだわり」は振り返ってみますと心情や機能(なじみ)に起因していることに気付かされます。とくに文具にまつわる私の周辺を見回して見ますと、机上には新旧の物が混在している状況で、環境としては「古きをたずねて新しきを知る(温故知新)」条件がそろっています。新学期にあたり、その意味のとおり、「昔のことをよく調べ、新しい物事に適応すべき知識や方法を得る」ように努めたいと決意を新たにしました。

(掲載日:2008/04/10)

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