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おかしら日記
2007.12.27

おかしらと学会|大西祥平(健康マネジメント研究科委員長)

学会において初めて研究発表をしたのは大学を卒業して、医師となり臨床経験がまだ浅い頃のことでした。右室二腔症という特殊な心臓病の症例報告でした。31年前のことですが、鮮明に覚えています。

右心室を構築している筋肉の一部が異常に厚くなったため本来一つの部屋であるはずが二つの部屋に分かれてしまい、右心室の機能負担が過剰になることが問題となる疾患でした。その診断には、「造影剤を使って右心室の中を映し出す方法」と、「心臓の中にカテーテルという管の先端にマイクロフォンを装着した特殊な方法」を用い、肺動脈、右心室そして右心房の中を流れる血液によって生じる音(心音)を記録し、右心室内で本来生じるはずのない雑音を確認することで本疾患を診断できたという点が、新しい報告の理由でありました。

卒業間もない新人医師が、かなり高度な技術を用いた心臓カテーテルの検査であります。手先が器用であったためかカテーテルの操作は非常に短期間で習得し、周辺の外科医の先輩たちから「内科医にしておくのはもったいない」と言われて有頂天となっていました。

しかし、技術はともかく心臓の解剖の細かいところの知識が未だ不足していたために、学会発表での質問に対して、何を聞かれているのか全く理解できず右往左往した時の恥ずかしさといったらありませんでした。学会デビューはまったく悲惨なものでした。
暖かく見守ってくれた先輩たちからのフォローにより、もっと謙虚に望むべきであることを教えられたデビュー戦でした。

その後、数えきれないほどの学会には出席していますが、最近ではもう発表する立場ではなく、若い医師の指導が中心となり、時代の変化を強く感じている次第です。

(掲載日:2007/12/27)

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