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おかしら日記
2009.09.24

変化の季節|山下香枝子(看護医療学部長)

夏の終わりのある日、昨日まで緑一色だったSFCの木々も、鮮やかな黄色や紅色に色づき始め、ところどころで早くも落葉し、形をすっきりと整えるものもあり、新しい季節の巡りを告げているようです。緑一色の繁茂に馴れていた網膜には、色づき始めた自然の織りなす風景の変化は新鮮そのもので、新しい世界への扉を開くかの如く心が弾み、軽い感動すら覚えました。

「変化:Change」の概念は、昨年の米大統領選挙の際のオバマ氏のキーワードとして人口に膾炙してきました。最近では新政権を担った鳩山総理も、「オバマ大統領のChangeのおかげで日本でも政権交代が可能になった・・」と言わしめるほど、世界のあちこちで大きな影響をもたらしています。
「変化」とは、これまで長く続き、固着しつつある物事に揺さぶりをかけ、揺り動かし、取り替える等、日常の馴れ馴れしさを脱するためにも必要なものであり、変わることにより、人々に新鮮さをもたらし、時に感動さえも与えてくれます。

長い歴史をもつ国や大学や施設は、「先導者の育成や独立自尊の修得」などのように継続しなければならないもの、また、男性優位の古い概念を捨てて「男女共同参画」のように新しく構築していかなければならないものを厳しく選定することが必要であり、それらがきちんとなされてこそ、その時代にふさわしい「変化と発展」がもたらされると考えます。

先日、北海道で開催された日本看護学教育学会に参加した私は、帰りに網走の流氷館に立ち寄り、"流氷の天使"と呼ばれるクリオネを見てきました。初めて見るその小さくも愛らしいクリオネの姿に感動しました。
クリオネは巻貝の仲間だそうで、天使の羽に見えるものは翼足(よくそく)と呼ばれる足であり、透き通って見える赤いハートは消化管だそうです。
クリオネは餌であるリマキナという巻貝を前にすると、その愛らしい天使のイメージとは異なり、頭の先から突起を出し、素早く獲物をとらえて、頭にある口にもっていき、1〜2時間かけて食べるということです。私はクリオネのその神秘的な、愛らしい天使のような姿の中にある生命の営みに感動しつつ、水槽の前に釘付けになっていました。

私は、これまで多くの感動を得てきました。今後も生きている限り驚き続けたいし、感動を求め続けたいと思っています。人は感動することによって意識を集中し・探索行動に駆り立てられるからです。これからも私は、常に周りをよく観察していきたいと思っています。

振り返ってみますと、私の「おかしら日記」も今回が最終回となりました。原稿の締め切りに必ずしも滑り込みセーフとはいかないこともあり、担当の方には大変ご迷惑をかけました。私にとっておかしら日記を書くことはchallengeであり、楽しみの一つでもありました。考えてもみなかったテーマが与えられた時などは、(少し大げさに表現すると)"未知への挑戦"でもあり、その結果、自分自身の新しい一面に気づくことにもつながっていきました。逆に書きたいテーマの時は、あれもこれもと欲張って想いを巡らせているうちにタイムアウトになり、大忙しに陥ることもしばしばありましたが、それも、今となっては良き思い出となっています。

これまでお読み下さった方々に感謝をこめて心よりお礼を申し上げます。
10月からは看護医療学部に新しくおかしらが誕生し、新しい変化が生まれます。
今後ともご期待いただければと思います。2年間どうもありがとうございました。

(掲載日:2009/09/24)