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体育1

 体育1

担当:東海林祐子 准教授 ほか

履修者は何人でしたか?
30名から40名です(クラスによって違います)

授業形態は何でしたか?
春学期間中 全オンラインのライブ

学生からの意見

  • 「とてもSFCらしい!」

SFC体操やSFC GOなど、今までにない取り組みを進められたようですね。それらのねらいや内容について教えてください。

  • 体育1で心と体の元気を取り戻してほしい

COVID19の影響でSFCの全授業がオンラインとなるなかで、特に新入生の気持ちを考えると居ても立ってもいられないくらいせつない気持ちになりました。どうやって友人を作りどうやって学生生活を楽しむのか、体育1は、従来は様々なスポーツを通じて運動の得意・不得意に関係なく多様な学生が関わりスポーツを楽しみ、人との関りを楽しむ授業で、この授業が機会となり卒業後も関係が続いていくというSFCにとっては貴重なコミュニケーションの授業の一つでもありました。そういう状況のなかで、オンラインだけれど、対面と同じようにクラス内のコミュニケーションが図れないかと体育の専任で頭を悩ませました。さらに座学が多くなる中で健康へのアプローチも重要でした。正しく体を動かすこと、身体活動に関するフィードバックなども対面であればすぐにできます。しかし、それができない状況で、今年度の体育1の目標としてはこれを機会に運動の習慣化やコミュニケーションのきっかけを感じとってもらえる、そんな授業にしたいと考えていました。こうした目標を達成するための授業コンテンツとしては、次に挙げるように様々な取り組みをしました。

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  • 体育1を終えたときにどんなクラスでありたいか

第1回目の授業は各クラスの春学期終了時の在りたい姿について意見を出し合い、各クラスの目標を作りました(スライドがクラス1からクラス26まであります)。体育1が終わるころにはコロナも収束して「みんなでご飯いきたい」、「悩みを打ち明けられる友人でありたい」など様々な意見がでました。

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  • マインドフルネス

マインドフルネスは卒業生の中村悟さん(ヤフー株式会社で自ら実践者として普及)に依頼し、体育授業の冒頭導入部部分でマインドフルネスのワークを取り入れました。1、心を整える 2、自分を客観的にみる 3、今の自分を知ることを経験するという短いワーク、これがやればやるほど今の自分に集中できるようになっていって興味深く、学生のレポートにも印象に残った取り組みの一つとして多く挙げられていました。オンラインで孤独ななか、授業課題も次々に課される状態においては、このワークは客観的に自分を見ることのできる機会だったと思います。また大学生活を送るうえで、そうしたスキルが身についていくことはとても重要だったと思います。

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  • チェックイン・チェックアウト

クラスの場は仲間の対話が促進される「安心・安全」の場です。そうした場を作りだすために各グループで「自分の呼ばれたい名前・体調・感情」を毎時間共有します。「評価する」、「評価される」の関係性でなく、自然体で議論、交流できる関係性を作り出すプログラムを実施しました。

  • 座り過ぎないための工夫を

体育の授業では「姿勢」や「座り方」についても学ぶ機会を設けました。現在、授業で取り組んだ身体活動のなかの「一日の座位時間」について確認していますが、オンライン授業によって移動時間がなくなったことや外出規制によって他者との交流が減少したことで、予想以上に座って過ごす時間が多くなっているようです。日本人は世界で最も座位時間が長い(7時間)という報告1)がありますが、SFCの1年生では8時間以上の人が全体の75%を占めていました。座り過ぎは健康リスクも高まるという報告2)があります。まずはオンライン授業の合間に体操を入れたり、スタンディングで授業を受講したり、家事や趣味などの時間を積極的に作り、座り過ぎないことを意識するということが重要ですね。

  • 教職員と学部長が審査して新入生全員が取り組んだSFC体操

身体活動とコミュニケーションの減少に伴い、クラスで何か一つを作り上げる過程がコミュニケーションを促進すると考えました。まずは藤井進也先生に「動きと音楽」の関係性を理論的に動画で解説いただきました。ただやみくもに体を動かすだけでなく、7つの体の部位を正しく動かすポイントを提供し、授業の前半ではこれらも含めて、正しい姿勢や言語を遮断したオンラインコミュニケーション、身体活動量の考え方なども教示しました。これらをベースに理論と実践を繰り返してSFC体操の基礎としました。各クラスがそれぞれのグループに分かれ、授業内外でSFC体操のコンテンツを考えつなぎあわせていきました。音楽があったほうがいいということで、音源は総合政策学部の上田健太君や環境情報学部の廣瀬太祐君、理工学部の上野隆政君の3人の上級生が快く提供してくれました。クラスによってはオリジナルの音源や歌詞を作ったところもあります。授業内外でオンラインでのグループごとのディスカッションや動きづくりが活発に行われていたようです。審査基準を設け、予選から決勝までのクラス対抗戦としました。審査員は教員では牛山潤一さん、藤井進也さん、職員代表として樽谷治幸さん(七夕祭をはじめ、各行事で学生はお世話になりっぱなし)、卒業生代表の土肥梨恵子さんで、審査基準をもとに予選を勝ち抜いた8チームが最終審査の学部長審査へと進みました。また体育をサポートしてくれる大学院生が選ぶTA賞もありました。授業終盤で結果発表がありましたが、どのクラスも一生懸命に取り組んだので、「えっ、自分たちのクラスが学部長賞ではないの?」などの声もきかれました(笑)。学部長賞はスマホ片手で動ける「クラス21」と、どのような年代にもスムーズに受け入れてもらえる「クラス18」が最終審査を突破し学部長賞を受賞しました。学部長からのメッセージも動画でいただきました。本当はSFC体操を一緒に動いてほしかったのですがね(笑)。(リンクで動画が見れますがkeio.jpのアカウントを持っている人だけが閲覧できる状態に制限しています)。クラス4がオリジナルで作った歌詞が新入生の声を代弁しています。これらを見ると一歩もキャンパスに足を踏み入れていないSFCに対する想いが歌に込められていて胸が熱くなります

SFC体操の動画・資料リンク(学内限定:要 keio.jp認証)

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  • SFC-GOは身体活動もコミュニケーションも可視化するツール

体育の授業を実施するうえで大活躍したのは、「SFC-GO」ですね。中澤仁研究室の教員や卒業生,博士や修士の学生、学部生などオールキャストで作成してくれた授業支援ツールです。自粛で外出にも制限がかかるなかで、身体活動の可視化ができれば自己の健康のコントロールがより高まるのではないかと考えました。わずか3週間くらいの時間で、体育分野と情報分野の人たちが一緒になり開発チームを作りました。次々に議論する内容がありすぎて、途中から何度も頭がぼうっとなったことが思い出されます(笑)。情報分野の皆さん、特に博士課程の佐々木航さん、修士課程の羽柴彩月さん 、卒業生の西山勇毅、取りまとめの大越匡さんの驚異的な追い込みと熱意で、何とか授業5回目のスタートに間に合いました。学生さんがそれぞれ自分のスマートフォンにアプリをインストールして起動したときは感動しました。同時に各クラスがどのように活用できているかも体育の教員全員で相互にメーリングリスト上で情報交換を行いました。初めての試みでしたので相互の情報交換は大変重要だったと思います。さらに不明な時は体育事務の方が常駐されるバーチャルマスタールームや中澤研の学部生がサポートセンターとして質問に答えるサービスも開設して対処してくれました。クラスでは各チームに分かれてSFC-GOの効果的な活用の仕方や、実践できている学生が操作方法で迷っている学生をクラス内でフォローするなどいい 関係性も見られました。体育1は26クラスあり、こうした初めての取り組みに不具合や説明不足も多くありましたが、先生方には温かい心で実践してもらいました。教員のIT不足をフォローするSAの皆さんも心強かったですね。SFC-GOは教員が運動課題を設定し、学生は授業の内外でその課題に取り組んでいました。例えば「SFC体操の開発に向けてグループで運動を実施してください」という課題や「次の日曜日にジョギングしますので一緒にしませんか?」という課題が教員から送られることもありました。クラスやグループ間でなんとなくゆるやかにつながり運動を楽しむ、そんなつながりがあるのがよかったと思います。

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履修者の反応や効果について教えてください。

  • 体育は心身の向き合い方について様々な分野が融合する学問

新入生の満足度が高い授業だったということでうれしく感じています。例年、学生さんのレポートを見ると高校までの体育との違いを書いている人が多いです。今回はスポーツというツールの活用はできなかったので、なおのこと自らの心身に向き合う機会が多かったのではないかと思います。高校までの体育は運動能力や競技力の高い人だけに引きずられがちで、それが体育嫌いを生み出している要因の一つと考えられます。SFCはキャンパス全体の理念がそうであるように、様々な分野で特徴を持つ人が集まっているのでそれを体育でも融合できるといいと考えています。例えばSFC体育で活用しているオンライン予約システムや体育ノートは、情報処理やソフトウエア開発分野の萩野達也先生のご尽力で20年近く前からの構築があります。こうした下地もあり、SFCだからこそやれる体育のコラボレーションSFC-GOは異分野融合のモデルになったのではないかと思います。SFC体操の完成に向けても、映像が得意な人や音源づくりが得意な人、ダンスが得意な人など様々な得意分野を持つ人の力が結集しました。これまで見てきたように授業にもSFC-GOや音楽などの分野で様々な教員に参画いただきました。こうしたSFCならではの授業を通じて、様々な切り口から自らの心身をとらえる貴重な機会となるのではと思っています。 コロナ収束後に新入生とキャンパスでSFC体操を一緒に動くことができる日が来るのを心待ちにしています。

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《クラス担当者》

クラス1 野口 和行 クラス15 大崎 恵介
クラス2 佐々木 直基 クラス16 木塚 孝幸
クラス3 大崎 恵介 クラス17 久永 将太
クラス4 東海林 祐子 クラス18 柳澤 洋介
クラス5 木塚 孝幸 クラス19 山田 貴子
クラス6 大熊 玲子 クラス20 大熊 玲子
クラス7 山田 貴子 クラス21 松橋 崇史
クラス8 岩月 基洋 クラス22 永野 智久
クラス9 永野 智久 クラス23 岩月 基洋
クラス10 松橋 崇史 クラス24 山本 耕太
クラス11 錦見 綾 クラス25 佐々木 直基
クラス12 塩田 琴美 クラス26 加藤 貴昭
クラス13 水鳥 寿思 ソフトコース 森 将輝
クラス14 錦見 綾