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日本語

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担当:伴野 崇生特任講師ほか 

履修者は何人でしたか?
履修者数は20名。全員が毎回ほぼ無遅刻・無欠席で参加しました。

授業形態は何でしたか?
Zoomを使ってライブ・双方向で進めました。また、反転授業(flipped classroom)の要素も取り入れました。反転授業というのは、従来教室で学んでいた内容を授業外で学習し、従来なら宿題だった内容を演習として授業で行う、つまり授業内外の活動をこれまでと逆にした(反転させた)授業のことです。授業内外でのコミュニケーションには、メールやSFC-SFS以外にチャットアプリDiscordを使いました。これはライブ感や仲間といっしょに学んでいる感じを高めるための工夫です。

言語の授業では、オンラインならではの様々な取り組みを進められたようですね。それらのねらいや内容について具体的に教えてください。

SFCの日本語クラス(留学生・帰国生が対象)では、それぞれのクラスで様々な工夫をしてきました。ここでは、日本語スキル1A (講義の受け方)での工夫について、2点に絞ってご紹介したいと思います。

1 反転授業 -- 事前に学習・集まって確認・分かれて説明

・YouTube 動画で事前学習
このクラスでは、YouTubeに公開されている慶應義塾大学教養研究センターの「アカデミック・スキルズ」の短い動画1を視聴し、分担して各自1分程度文字化することを毎回の事前課題としました。
・Zoom のブレークアウトセッションで理解を深める
クラスではまず、同じビデオを見た 3人または 4 人のグループに分かれ、 図 1 教養研究センターYouTube チャンネル 動画の内容を互いに確認しました。その後、グループを変え、新しいグループで は確認した内容を違う動画を見た人に説明しました。その過程で動画の内容を よりよく理解できるようになるわけです。また、同じ動画を見てきた人同士は助け合うことができますし、違う動画を見てきた人からは自分が見ていない動画の内容について効率的に学ぶことができます。グループワーク後には、各グループの議論のクラス全体でのシェアも行い、日本語で行なわれる講義内容を深く理解するためのスキルを追求しました。

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2 オンライン授業での学びをより有意義なものに

・自分の学習についてよく知る
このクラスでは、理論やモデルを通して自分の学習のスタイルや経験についてふりかえり、今後の学習や研究について考えました。その成果は中間発表とそのふりかえりを通じて全体で共有されました。
・オンラインでの学習をよりよいものに
その上で、各自が今受けているオンライン授業への感想や意見を共有し、「オンラインでの学びを効率的で効果的で魅力的なものにするにはどうすればよいと思うか」「秋学期に向けてオンラインでの学びはどうあるべきか」等について話し合いました。コロナ禍で授業がオンライン化され、日本語クラスの学生は、日本語を母語・第一言語とする学生とはまた異なる経験をすることになりました。置かれている状況や背景の近い留学生・帰国生同士が経験を共有しあい、他の場面ではなかなか言いにくかったり、そもそも言う機会もなかったりする意見や思いを交換する空間を提供し、当該授業が学びのコミュニティとして十分に機能することをめざしました。

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図 2 学びのふりかえりと今後の学習の発表

履修者の反応や効果について教えてください

履修者の反応は非常に好意的なものが多かったです。学期末のアンケートでは、「最終課題で、今まで勉強したことを再度確認できて、今後の改善点なども探せました」「先生はいつも学生達の意見を聞いて、まとめました」「自己評価と分析ができ、学習に大きく役立てられると思う」「第二言語として日本語を学んでいる方で講義を受講するにあたって自信が無い方には特におすすめの授業です。講義に対しての知識を深められると思います」といった意見が見られました。 効果については、上に挙げたような活動を通じて、履修者同士がつながる、ま たその結果として、学びのコミュニティとして成長していった点が挙げられると思います。オンライン授業を受けることは時に孤独で、留学生・帰国生の場合特に、住み慣れない環境でキャンパスにも行けず友達も作れないといった状況に陥りがちです。このクラスでは、「クラスを通じてつながった、ともに学ぶ仲間」として互いを認識できるよう工夫と努力をしました。レポートや毎回の授業のふりかえりなどからも、このクラスが実際にそのような場になっていたことがうかがえました。