MENU
SFCスピリッツ
2016.05.10

自分を信じること|速水浩平さん(2006年環境卒、2008年政メ修了)

kokuyo.JPGのサムネイル画像

速水 浩平さん

株式会社音力発電 代表取締役
2006年 環境情報学部卒業
2008年 政策・メディア研究科修士課程修了
2009年 政策・メディア研究科博士課程退学

 

 

 

 

私は、現在「音力発電」という会社を経営しております。弊社は、音や振動のエネルギーから発電させる技術を開発し、それを中心にエネルギーハーベスティング分野の技術開発・新製品開発、製品の製造・販売等を行っております。床の上を歩行することで発電可能な「発電床®」は、弊社の代表的な製品(非常時の避難誘導灯や安全灯、電池レス無線リモコン等)の一つです。音や振動は、我々が生活する環境の至る所に存在しますが、そのエネルギーは、十分に有効利用されてきておりません。一つ一つは小さなエネルギーですが、ありとあらゆる場所に存在しているため、ちょっとした(乾電池やボタン電池等の代替程度)発電を、あらゆる所で行えるという特徴もあります。そしてこの特徴こそが、弊社の製品開発を行う際の最大の利点となります。

 

私は、高校二年生の頃から、大学発ベンチャー企業を起業することを目標にしておりました。当時大学発ベンチャー企業の支援を大学として行っていたのは、日本国内においてSFCのみだったと思います。

 

私は、物心つく頃から理科の大好きでした。そして人真似が大嫌いで、自分の独特な考え方やオリジナルのものを大切にしていました。(小学校、中学校、高校とちょっと変わったことを言う子供と思われていたようです。)将来、自分の好きなことを職業にしたいと思っていたため大学発ベンチャーという存在を知り、強く興味を持ちました。社会に出たら、理系も文系も関係ない、まして起業して会社経営するなら幅広い知識や知恵や判断力等を必要とする。そう思っていたため、理系文系の枠にとらわれず、総合力や創造性を重んじるSFCのスタイルはとても好きです。

 

今も思い出すのですけれども、SFCに入学した初日のオリエンテーションにおいて「未来からの留学生」という言葉を聞いた時のことは深く印象に残っております。これこそ自分が求めていたものであり「この大学は、私にあっているな」と興奮したことを覚えています。このシンプルな言葉は私の脳裏に深く刻まれ、今に至るまで、とても力強く勇気付け、支えてくれています。

自分が今やっていることは正しいと信じること。未来の自分を信じること。

つまり、今研究しているこの技術開発は、必ずや社会に貢献すると信じること。

自分以外は、まだ誰もしらないけれども、この技術は社会を変える潜在能力を持つ。

それを知っているのは、私が「未来からの留学生」であり「私は、未来を明確に、そしてはっきりと知っているから」なのです。

 

私は、学部二年の頃から現在に結び付く「音力発電」、「振動力発電」の研究開発を本格的に開始いたしました。その時期は、平日は毎日大学に泊まり三時間睡眠。一限目から講義を入れ、課題をやり、深夜から研究開発を開始する。そんな学業や研究に没頭する日々はとても有意義で充実していました。そして、その研究開発の成果を基に、特許を出願いたしました。当然学生のため、特許出願も初めてのこと。費用も最小限に抑えることから、最初の特許は、自分自身で手書きのものを出願いたしました。

 

そして、2006年9月。株式会社音力発電という会社を起業いたしました。その頃は、日本においてエネルギーハーベスティングなんて言葉は、まだありませんでした。でも私はこのとき、この技術は日本やその他の国や地域において必ずや必要とされる、と確信していました。勿論、今も信じています。未来を知っている「本当の、未来からの留学生」ですから。

 

SFCで学んだことは、ここには、書ききれないほどに沢山あります。

SFCには、本当に感謝いたしております。

 

現在弊社は、これまでに開発いたしました技術を使用して、これまでにない高効率「波力発電」装置の技術開発を推進いたしております。

広い意味において、日本のエネルギー環境を変えていき、エネルギー選択の一旦を担えるように日々開発いたします。

 

※ 株式会社音力発電の提供する「発電床®」をはじめとする全ての「振動力発電」技術は、特許技術となります。

※ 「発電床®」は、株式会社音力発電の登録商標です。