MENU
SFCスピリッツ
2007.04.11

"Good News" それは、人と接することからはじまります。

SFCスピリッツ

“Good News” それは、人と接することからはじまります。

松田龍太郎さん
NHK 青森放送局 報道カメラマン
2003年環境情報学部卒業

松田龍太郎さん大きなカメラを右肩にのせ、ありとあらゆる現場におもむくこと。それが今の私の仕事です。ファインダーから見える世界は、カメラにおさめられ、世界中にその映像が放送される瞬間は、「自分が切り取った世界が広がる瞬間」でもあり、多くの人にその現場を伝えることが出来る喜びは、この仕事の醍醐味でしょう。

私は現在NHK青森放送局に勤務しています。東京・報道局で3年間勤務した後、地方勤務に就きました。幸い、青森は私の地元でもあり、高校卒業まですごしていた土地。10年ぶりに戻った故郷は、どこか懐かしく、それでいてとても新鮮でした。なによりも地元の事件・事故、出来事を自分の映像で表現できるということ自体、10年前では考えられなかったことです。

こうして多くのニュースが、日本そして世界各地に届けられる一方で、僕らが最初に行うことは「人とコミュニケーションすること」なのです。どんな情報も、すべては人から生まれます。そして現場に出向くということは、「直接コミュニケーションをとり、情報をつかみ、カメラを通して、その情報を伝えていく」ことであり、この単純作業の中に、珠玉のような情報、つまり感動を呼び起こし、人々の心に訴えるものが出来上がるのだとおもいます。僕はこのことを「Good News」と呼んでいます。このGood Newsをどれだけ視聴者に伝えていくか。それがこの仕事のモチベーションになっているのです。

ひとえに“感動を呼び起こす! 心に訴える!”ことは簡単ではありません。しかし自分自身が、“面白い!感動した!訴えたい!なにか違う!”という思いがあれば、それがカメラという自分のフィルターを通すことで、誰かに響くかもしれない。それは大きなきっかけとなって、社会の中にムーブメントを作ることも出来るのです。

在学中、三宅理一研究室や坂茂研究室といった、環境デザイン系の研究室に所属していた頃から、『人と接すること』に重点を置いた研究やプロジェクトに参加していたこと、そして「社会の中の自分」ということを意識していました。そして『人との関わりをどのようにデザインし、コミュニケートしていくか』を考え続けることが、これから僕らが問われることであると確信しています。SFCはまさにそういう場所だと思いました。

大学で何を学ぶか。それは隣の席の人からコミュニケーションするところからはじまっています。僕自身ゴールを決めていないので、変化を恐れていません。これからも新しい働き方、生き方を考え続けるつもりです。なにより現代社会が転機を迎えていることは確かです。その現代社会の最前線で、いま僕は働いています。

(掲載日:2007/04/11)