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SFCスピリッツ
2007.01.24

再生可能エネルギーという選択

SFCスピリッツ

再生可能エネルギーという選択

阿部伸一朗さん
株式会社市民風力発電
1994年総合政策学部卒業

ドイツやデンマークなどの環境先進国と日本の風力発電事業の形態には大きな違いがあります。前者が主に地域の組合や市民の出資で作られているのに対し、我が国の風車のほとんどは企業や自治体の所有となっている点です。しかし我が国でも10基目の「市民風車」が建ち、最近では常に出資希望者が募集枠を超えるなど、わずかながら再生可能エネルギーの普及に新しい形態が加わりました。

この仕事に関わるきっかけとなったのは、SFC在学中に香川敏幸ゼミで行った学外対抗討論会。テーマは南北問題と広範でしたが、経済発展の制約となってきた地球温暖化問題と、その対策として再生可能エネルギーが私の関心事となりました。卒業時には最大の関心事を仕事とする機会を得られず、3年ほど通信会社に働いていましたが、折しも京都会議COP3の1ヶ月前、風力発電機の輸入会社の存在を知り、風力との関わりが始まりました。その後デンマークの風力発電機メーカーで7年ほど各地のプロジェクトに携わり、当時数十基であった日本の風車も千基を超えるところまで来ました。現在は個人が出資できる風力発電所「市民風車」を建設する事業会社で、環境調査、立地交渉、風車の輸入・建設の管理などを行っており、誰もが再生可能エネルギーという選択肢を持つ環境先進国に少しでも近づくことを目指しています。

地球温暖化問題は多面的な問題を内包し、総合政策的アプローチを必要とする人類共通の課題です。風力発電は多くの対策の一つにすぎませんが、経済合理性を持つ再生可能エネルギーとして、不可逆の地球温暖化に対し直ちに採り得る選択肢といえるでしょう。これから社会に出る多くのSFC生が様々なアプローチで地球環境問題に大きな役割を果たしていくことを期待しています。

→株式会社市民風力発電

(掲載日:2007/01/24)