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SFCスピリッツ
2007.02.21

アンチSFC!?

SFCスピリッツ

アンチSFC!?

金寿煥さん
新潮社 出版部
1999年環境情報学部卒業

現在、出版社の新潮社で書籍の編集の仕事をしています。担当する分野は、学芸系の書籍。とはいっても、扱う分野は多岐にわたり、06年に刊行した書籍は、茂木健一郎『ひらめき脳』、勝谷誠彦『イケ麺!』、中島岳志『インドの時代』、坪内祐三『考える人』、西原理恵子『パーマネント野ばら』、梅原猛『歓喜する円空』、南直哉『老師と少年』と、いろいろです。また季刊誌「考える人」の編集スタッフでもあり、そこではSFCの大注目株、21世紀の日本の論壇を支えるであろう、渡辺靖教授に「カウンター・アメリカ」という秀逸なアメリカ論を連載していただいております。

SFCで学んだこと……、何でしょう、よくわかりません。もちろん、あのキャンパスで過ごした四年間が現在の仕事の何らかの栄養になったかとは思いますが、具体的にSFCから何を盗み、それをどう活かしてきたか、考えたことはありませんでした。それは私が自堕落な学生生活を送ったからかもしれませんが。例えば、在学中の早い時期から自らの目指す専門性に目覚め、それに邁進し、卒業後もそうした経験を活かした仕事をしている方はとても立派です。しかし、ほとんどの方が「よくわからない」というのが、正直なところではないでしょうか。と同時に、「“わからない”でいいじゃん!」とも思います。学生時代に吸収したことを、明晰な言葉でなぞり形を与えるのではなく、「わからない」まま放置しておく、これもひとつの方法だと思います。

このようなひねくれた考え方こそ、「SFCで学んだこと」なのかもしれませんが。

(掲載日:2007/02/21)