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SFCスピリッツ
2011.08.23

「NIPPON」からのグローバル化を

SFCスピリッツ

「NIPPON」からのグローバル化を

一木(旧姓 日垣)典子さん
1994年総合政策学部卒業
東日本旅客鉄道株式会社事業創造本部グループ再編プロジェクト課長

私は、JR東日本の鉄道事業と両輪を成す「生活サービス事業」という分野で、約40社あるグループ会社を環境や戦略に応じて再編成する業務に携わっています。グループ内のM&Aと言えば分かりやすいでしょうか。

現在担当しているのは、東北・信越エリアに拠点を置くグループ会社の再編なのですが、これらのエリアは首都圏ほどマーケットが大きくないうえ、人口減少傾向が著しいため、“常識的”には再編効果が高くなく、短期的なリターンを求める投資家目線ではその意義に疑問が呈される内容かも知れません。だからこそ、再編の趣旨を明確にし、社内外の関係者を説得する必要がある、難しいけれど、やりがいのある仕事です。

SFCでは、梅垣理郎先生のゼミに所属し「国際正義論」を学びました。この「正義」という名の学問、今でこそハーバード大学サンデル教授により広く知られた感がありますが、当時の私は中身をよく理解せず、ただただ、梅垣先生の人間味溢れるキャラクターとサンデル教授に勝るとも劣らない魅惑的な授業に引き込まれ入門したクチです。そんな経緯ではありましたが、SFCや梅垣ゼミはその後の人生における財産の宝庫でした。①ヴィジョンを構築し、それに向かって変革を続ける精神(SFCの設立自体がその象徴でした。)、②“常識”、“定説”を鵜呑みにしない批判的視点、③分析だけで満足しない問題解決志向、④多彩な仲間(多様な価値観)などです。そして、これらの財産を大切にしていると、どのようなことも有意義に捉えられるように思います。

少し大げさかも知れませんが、私は、現在の担当業務の意義を次のように考えています。ヴィジョンは、日本に国際的な関心と尊敬を集める地域を創り、「NIPPON」の内側からのグローバル化を実現すること。海外に生産拠点やマーケットを求めるグローバル化が加速していますが、中長期的な市民生活の維持には内なるグローバル化も欠かせません。それには、①地域の資源を徹底的に見つめなおすローカルな行動、②地域の資源に付加価値を付け、首都圏・海外にマーケットを開拓するビジネスセンス、③地元行政・市民を巻き込むチームビルディングが不可欠で、ドメスティックかつ国内にネットワークを持つ企業だからこそ貢献できるフィールドがあると思うのです。自社の枠を超えて有意義な取り組みに繋がるよう、各地域と向かい合いながら大いに悩み、行動したいと思います。

(掲載日:2011/08/23)