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おかしら日記
2012.01.13

はじめの一歩|高野仁(SFC事務長)

「おかしら日記」には、初登場となります。湘南藤沢キャンパス事務長の高野仁と申します。以後、お見知りおきください。

初回ですので、まずは、私とSFCとの関わりを紹介させていただきましょう。
1990年のSFC開設と同時に湘南藤沢事務室の学事担当として着任したのが、SFCとの「縁」の始まりです。学生支援(Student Life)担当でしたので、SFCの学生団体の形成に深く関わった5年間でした。その後、総務担当に異動し、人事・広報・庶務などの仕事を3年ほど担当し、三田地区に異動となりました。
この間に、当時まだ普及していなかったE-MailやHTMLなどに触れましたが、どちらも最初は、学生から教わったのがよい思い出です。慶應義塾で言うところの「半学半教」を実践していたと言ってよいでしょう。
三田地区での11年半を経て、2009年11月にSFCに総務担当課長として戻って来たのが、ほぼ2年前ということになります。
久しぶりに戻ってきたSFCで感じたことは、次のとおりです。

(1) 市営地下鉄と相鉄の湘南台までの延伸により、交通の便がよくなった。
(2) 20年前に植えられた木々が、見事に生長した。
(3) カリキュラムが変わっていた。
(4) 以前からの顔見知りの先生方がお年を召された。
(5) 学生支援担当時代に顔見知りだった学生が教員になっていた。

特に(1)と(2)には、特別な感慨がありました。開設初期の頃の学生との会話の中で、キャンパスの環境について不満をいう学生に対して、私がよく言っていたのが、この2点だったからです。
「10年先、20年先のSFCを想像してみようよ。鉄道は湘南台まで延伸され、交通は便利になるし、植栽の木々も生長し、キャンパスの環境は今よりもずっとよくなるよ。」ということを言っていたのです。物事の解決には時間がかかることを、自分自身に言い聞かせる思いを含んでの発言でした。
これに対して、学生たちは「ぼくらには、4年間しかないんです。卒業してからでは、遅いんです。」という回答が返ってきました。
この発言に対して、当時は充分に返答できませんでしたが、久しぶりにSFCに戻ってきて、少なくとも嘘は言ってなかったことが確認でき、卒業生にも実感してほしいなということを感じたのでした。

さて、おかしら日記には、一応テーマがあると聞きました。今回は「最近見た夢を教えてください」ということでしたので、テーマどおりではないものの「夢」にまつわることを最後に書いておきましょう。
仕事柄、卒業生と食事をする機会も多く、以前にそういう場で将来の夢を聞かれたことがあります。そのときに迷わずに答えたのが、「SFC事務長になること」でした。幸い昨年11月にこの夢は実現しました。
実現して、ふと自分自身に問いかけます。
「何のために、SFCの事務長になることを夢にしたのだろうか。」と。 

20年前、SFCの開設に携わった多くの人が未来の大学のあるべき姿という「夢」を見て、SFCを生みだしました。あの時、SFCの地に立って多くの先人たちは、未来を見ていました。その時には、私は学生対応の最前線から未来を見るしかありませんでした。当時は、事務長というポジションからなら、もっと遠くの未来が見えるのではないかとの思いを持っていました。「初期の事務長たちが見ていた未来の地平を私も同じポジションから見てみたい。」それが、「夢」の原点だったのです。

今、実感することは、背伸びして未来の地平を見ようとしても未来の地平は見えてはこないということです。
背伸びをするまえに、地に足をつけて、地平を望むその場所を固めることが大事なように思えます。

初代事務長は、学生との距離を縮めたいとメールアドレスを「hi-jimmy」(ハイ,ジミー)にしました。事務職員に気安く声をかける雰囲気を出したかったようです。事務室、そしてそこで働く職員と学生との距離が離れていては半学半教も実現しません。これは、20年前にも20年後にも必要なことだと思われます。
学生の皆さんとの距離が近い事務室、そして職員を目指し、その体制を整えること、これが、未来を見るための足場を固めることのように感じます。 

「おかしら日記」を書かせていただくことも、学生の皆さんとの距離を縮めるための第一歩です。そして、夢の実現のための「はじめの一歩」なのです。

(掲載日:2012/01/13)