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SFCスピリッツ
2013.10.15

SFCと向き合う

 

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平尾喜昭さん
株式会社XICA(サイカ) 代表取締役CEO
2012年総合政策学部卒業

私は現在、株式会社サイカという企業で代表を務めております。
統計分析を、統計の専門家ではなく、統計知識の無いビジネスパーソンが活用できるように開発したWebアプリ「adelie(アデリー)」を提供するITベンチャーです。
同社の設立は、SFCでの学びが無ければ、絶対に有りえませんでした。

 

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■多様性との向き合い方
まず一つ目の学びは、多様性との向き合い方です。
"領域横断"、"文理融合"、その他さまざまな言葉で形容されているSFCの多様性ですが、私は学生の中でも、その多様性の本質を深く学んだ部類であったように思います。
2008年の入学当時、私はバンドマンとして一旗揚げることのみを夢見るロック少年でした。
頭の右半分を金髪に染め上げ、左半分を刈り上げ、スタジオとライブハウスに入り浸り、「何で大学入ったんですか?」とデフォルトで尋ねられる大学生でした。そんな私が一般受験の勉強に堪え、SFCの入学を目指した理由は、やはり"ミュージシャンとして成功したいから"でした。斜陽産業の代表格である音楽ビジネス界において、「ミュージシャンは音楽だけ作っていればいい」という論理はもはや通用しません。プロダクションもレーベルも人員放出を加速している今、ミュージシャン自身がマーケティングや組織論、経営論に著作権と、様々な学問をインプットし、場面場面で活用出来なくては闘っていけないと考えました。
そんな私の要望に、SFCという環境は見事に応えてくれました。先に列挙した学問からは実務のリテラシーを、イノベーションや国際交流の授業からは日韓交流のライブイベントの想起を、哲学や社会関係の授業からは歌詞を深めるための思考法を、その他数えきれないほどの学びを得ました。結果、大学入学時には小さなライブハウスで燻っていた私も、卒業時には、韓国ライブ・レコーディング、雑誌・ラジオ・TV出演、中型ホールへの出演等々、実力以上の成果を残すことが出来ました。
達成したい目標さえあれば、土台となる知性も感性も、直接的な実践方法も、漏れなく届けてくれる、それがSFCの多様性です。改めて振り返ると、そんな環境の中で最も深く学んだものは取捨選択の必要性でした。そしてそれは、どんな夢を追っていても揺るがない普遍のサバイバル能力であると思います。私はバンドから企業経営へと闘うフィールドを変えましたが、やはりやっていることの根幹は、取捨選択のみです。達成目標を置き、期限を区切り、逆算して今日学ぶこと・行うこと、ないしは、やるべきでないことを選定し続ける。バンド一筋であった学生時代、上述した履修授業の裏で、倍以上の授業のエントリーを断念したように、現在も沢山のアイデアや可能性をわざと捨て続ける毎日です。そしてその連続が、成果を尖らせてくれます。
何でも学べるSFCの多様性は、有限の時間をフル活用するために"捨てること"を教えてくれました。

■専門性との向き合い方
上述した通り、捨てることを学び続けたSFC生活の中で徹底的に拾ったものは、竹中平蔵研究会で学んだ"経済政策のリアリズム"でした。
小泉政権下で金融担当大臣、経済財政政策担当大臣などを務められた竹中先生は、私たち学生に"自らが国を動かす主体である"ことをイメージさせ、リアルで責任感を持った政策提言を求め続けました。先生の実践経験に裏打ちされた経済理論は、そのどれもに血が通っており、いわゆる学問書での"お勉強"にも自分事として取り組むことが出来ました。
特に統計分析に関しては、そのリアル感は強力であり、統計分析の手法論以上に、統計分析が持つ"納得感"について深く学びました。
私は竹中平蔵研究会しか知りませんが、多くの実践者が教鞭を振るうSFCにおいて、この"超実践主義"こそが、特有の専門性を支えているように思います。
私のように、SFCで専門性を身に付けたからこそ起業を決意した学生は少なくないはずです。

■夢との向き合い方
最後になりますが、私がSFCから学んだ一番のものは、"夢との向き合い方"でした。
竹中先生を始めとし、教員から卒業生、学生に至るまで、SFCには、事実として夢を実現している人間が数多く存在し、なにより、夢を追い続けている人間が多数派でした。この、"夢は見るものではなく追うものである"というスタンスが、4年間の学生生活で強烈に刻み込まれた感覚でした。
世の中には、人の成功を否定し、夢を追うことを恥ずかしいものだと嘲笑する人間も少なくありません。そのような人からすれば、夢追い人は馬鹿な存在なのかもしれません。
しかし、"馬鹿で結構"。
恥をかこうと、泥まみれになろうと、望んだゴールに向かって這いつくばってでも進んでいく。それが、SFCで学んだ夢との向き合い方であり、究極の美意識であると確信しています。