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SFCスピリッツ
2008.03.26

変わり続ける時代の中で 普遍的なものを伝えたい

SFCスピリッツ

変わり続ける時代の中で 普遍的なものを伝えたい<

生放送の中継車の中。中継車は寒いのでマフラー必須!三木佳世子さん
NHK長野放送局 ディレクター
2006年総合政策学部

私がSFCに入学した時、自分が長野で取材に走り回り、野沢菜とそばを食べながらテレビ番組を作るなんて想像もしていませんでした。しかし振り返ってみれば、SFCで出会った人達や学んだ事全てが絡み合い、自分を今の場所に運んでくれた様に感じています。

それぞれの問題意識を何より大事にする SFCという環境のおかげで、うっすらとしか考えていなかった「人生をかけて向き合いたいテーマ」を強く意識するようになりました。私の『人生のテーマ』は「人種・宗教・国籍・性別・障がいの有無といった“差異”を受容し、人と人が共に生きていける世の中にしたい」というものです。大学時代は、このテーマに向き合う方法としてダンスや演劇、小説執筆などの「表現活動」を行ってきました。世の中を変える為には人の心や意識が変わるしかない。そして、人の心や意識を少しでも変えていけるものがあるとしたら、それは政治や法律ではなく、人の心を動かす作品なのではないかと考えたからでした。

そんな私が卒業後の進路に選んだ“テレビのディレクター”という仕事は、番組が放送されるまでの全てを自分でやらなくてはいけないという厳しいものでした。「番組で何を伝えるのか」というネタ探しから始まり、取材、企画、ロケ、編集、ナレーション入れ…と、放送を出すまでの全ての課程で、取材対象者やスタッフなど多くの人と関わりながら番組全体を考え、舵をとっていきます。土日もアフター5もなければ、恋人とデートする時間もありません(笑)。

しかしそんな生活を続けていけるのも、「番組作り」という仕事が、自分のテーマに向き合う一つの手段だと感じているからです。世の中には様々な人達がいて、同じように泣いたり笑ったりしながら懸命に生きているということが伝わる番組を作る事が出来たら、“差異”をこえる普遍的な何かが伝わっていく気がするのです。変わり続ける時代の中で、正義とか悪とか、そんなものは私には分からないし決められません。常に迷いながら悩みながら、伝えるべきだと心が感じるものを大事に、これからも人と出会い、自分と向き合い、人生のテーマを胸に、人の心に届く番組を作っていきたいと思っています。

(掲載日:2008/03/26)