MENU
SFCスピリッツ
2010.01.18

バイオから宇宙へ

SFCスピリッツ

バイオから宇宙へ

藤島 皓介さん
日本学術振興会 特別研究員(PD)
2005年環境情報学部卒業、2007年政策・メディア研究科修士課程修了、2009年政策・メディア研究科博士課程修了

藤島皓介さん
左側が筆者、友人の小正瑞季氏とともにNASAエイムズ研究所のゲート前にて

自分がまだ中学生の頃、父がよく買ってきてくれた「ニュートン」という科学雑誌に登場する宇宙や生命進化のイラストに影響を受け、いつしか宇宙や生命の生い立ちを解き明かしてみたいという好奇心が芽生えていました。

昨年夏、私はカルフォルニアにあるアメリカ航空宇宙局(NASA)のエイムズ研究センターに2ヶ月半在籍し、そこで初めてAstrobiology(宇宙生物学)という分野に触れました。宇宙生物学とは「生命がどこから来たのか?」という究極の命題に真剣に取り組む学問です。地球で生命が誕生したとするならば、その構成要素や初期の生命システムはどのようなものだったのか?また逆に地球外で誕生したと仮定した場合、どういう場所や条件下で生命は誕生したのか?NASAの魅力はこれらの問いに答えるために、例えば火星探査を筆頭とする地球外生命の探索(フェニックス計画: http://phoenix.lpl.arizona.edu/) あるいは、太陽系外の地球型惑星の探索(ケプラー計画: http://kepler.nasa.gov/) をはじめとした様々なミッションを遂行していることにあります。

この一見突拍子もないテーマに大まじめに取り組むという姿勢はSFCの本質と相通ずるものがあると思います。特に私が9年間在籍した先端生命科学研究会(いわゆる冨田研)では常日頃、『人と同じことはするな』、『自分が楽しいと思える事を研究しなさい』と言われてきたこともあり、金井昭夫教授のもと、私は普通の人が研究対象にしないような、温泉や深海などに生息する極限環境微生物を用いた原始生命システムの進化の研究を行なってきました。しかし、逆にそれがきっかけとなり、研究会の先輩である荒川和晴講師を通じてNASAの研究者と知り合うことができ、インターンをする機会を得ました。まさにSFCスピリッツの賜物と言えるのではないでしょうか。

さて、学問としての宇宙生物学はその大きな枠組みから、微生物学、進化学、地質学、天文学、化学、物理学など様々な分野の知識の共有が要求されます。そこに私が先端生命科学研究会で培った最先端のバイオインフォマティクスと分子生物学に基づいた実験技術を持ち込むことで新しい知を生み出すことができればと考えています。できれば自分が生きている間に生命の起源が明らかになる、あるいは地球外生命を発見するといった素晴らしいイベントに携わることができればいいですね!

最後になりますが、私が在籍していた研究センターでは同じフロアに火星探査計画の関係者がいたこともあり、探査機をどこに着陸させるか、あるいはどういった分析装置を搭載させるかなどを決めた人が普通にコーヒーを持って歩いているという非常に刺激的な環境でした。また研究センター70周年記念フェスティバルのビンゴ大会の景品が本物の“月の石”で、度肝を抜かれたのを覚えています。極端な例ではありますが、私がSFCに期待することは、まさにこれと同じで、在学生を常に惹きつける最先端の知、あるいはユニークな人材やコンテンツというものをちりばめた大学で有り続けて欲しいということです。そして学生もそれに刺激を受けて、より高みを目指して輝いて欲しいと願っています。

(掲載日:2010/01/18)